PCSK9を阻害することで、LDL 受容体の分解を抑制する脂質異常症治療薬 111回薬剤師国家試験問37の解説

111回薬剤師国家試験 問37
プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9 型(PCSK9)を阻害することで、
LDL 受容体の分解を抑制する脂質異常症治療薬はどれか。
1つ選びなさい。
1 ベザフィブラート
2 エゼチミブ
3 エボロクマブ
4 アトルバスタチン
5 ロミタピド

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111回薬剤師国家試験 問37 解答解説

 

プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)を阻害することで、
LDL受容体の分解を抑制する脂質異常症治療薬は、
選択肢3のエボロクマブです。

 

111回薬剤師国家試験問37の解説 PCSK9を阻害する脂質異常症治療薬

 

 

以下で解説します。

 

PCSK9は、肝細胞表面のLDL受容体に結合し、
LDL受容体の分解を促進するタンパク質です。

 

LDL受容体は血中のLDLコレステロールを肝細胞内に取り込む働きがあります。
そのため、LDL受容体が多く残るほど、血中LDLコレステロールは低下します。

 

エボロクマブ は 抗PCSK9モノクローナル抗体で、PCSK9を阻害します。

 

その結果、

 

PCSK9阻害
→ LDL受容体の分解が抑制される
→ 肝細胞表面のLDL受容体が増える
→ 血中LDLコレステロールの取り込みが増える
→ LDLコレステロールが低下する

 

という流れになります。

 

以下では他の選択肢について解説します。

1 ベザフィブラート

ベザフィブラートは フィブラート系薬 です。
主に PPARα(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α)を活性化 し、脂質代謝を改善します。

 

PPARαは、脂質代謝を調節する核内受容体 です。
フィブラート系薬がPPARαに結合し、PPARαが活性化されると、脂質代謝に関わる遺伝子の発現が変化します。

 

主な作用は、

 

トリグリセリド低下
HDLコレステロール上昇
VLDL産生低下
リポタンパクリパーゼ活性化

 

です。

 

ベザフィブラートは、特に高トリグリセリド血症 に用いられます。

 

2 エゼチミブ

エゼチミブは、
コレステロールのトランスポーターであるNPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)を阻害します。

 

NPC1L1は、主に小腸上皮細胞の刷子縁膜に存在し、
食事由来および胆汁由来のコレステロールを小腸から吸収するために関与する輸送体です。

 

エゼチミブによりNPC1L1が阻害されると、

 

小腸でのコレステロール吸収が低下
→ 肝臓内コレステロールが減少
→ LDL受容体発現が増加
→ 血中LDLコレステロールが低下

 

します。

4 アトルバスタチン

アトルバスタチンは HMG-CoA還元酵素阻害薬、いわゆる スタチン系薬 です。

 

HMG-CoA還元酵素は、肝臓でのコレステロール合成に関与する酵素です。

 

アトルバスタチンにより、

 

肝臓でのコレステロール合成が低下
→ 肝細胞内コレステロールが減少
→ LDL受容体発現が増加
→ 血中LDLコレステロールが低下

 

します。

 

5 ロミタピド

ロミタピドは MTP阻害薬 です。

 

MTPは ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 のことで、VLDLやカイロミクロンの形成に関与します。

 

ロミタピドはMTPを阻害することで、

 

肝臓でのVLDL形成を抑制
小腸でのカイロミクロン形成を抑制

 

させます。

 

VLDLの形成が阻害されると、VLDLの肝臓からの分泌が低下し、
血漿中LDL-C濃度が低下すると考えられています。

 

主に ホモ接合体家族性高コレステロール血症 などで用いられます。

 

 

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