リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアー 89回薬剤師国家試験問174c
89回薬剤師国家試験 問174c
薬物送達システム(DDS)に関する記述の正誤を判定してみよう。
c リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアーは、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出し、性ホルモン分泌を抑制する。
89回薬剤師国家試験 問174c 解答解説
c 〇 リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアーは、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出し、性ホルモン分泌を抑制する。
マイクロスフェアーとは、粒子径数μm〜数十μm程度の球状の担体(マイクロカプセル)であり、コントロールドリリースやターゲティングに用いられる。
生体内分解性高分子のポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を基剤とするマイクロカプセルに主薬を封入した持続性の注射剤が実用されている。
PLGAマイクロスフェアー製剤は、投与後、体内でPLGAが徐々に分解され、主薬が徐々に放出されるので、持続性の放出制御製剤となる。
PLGAマイクロスフェアー持続性注射として、リュープリン注(高活性LH-RH誘導体のリュープロレリン酢酸塩を主薬とする皮下注)があり、皮下に投与すると長期にわたってリュープロレリン酢酸塩を放出する(LH-RHとは黄体形成ホルモン放出ホルモンの略称)。
持続的にリュープロレリン酢酸塩が放出され続けると、投与直後一過性に下垂体−性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、卵巣及び精巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、エストラジオール及びテストステロン産生能が低下する(慢性作用)。
リュープリン注は4週間に1度の注射で良い。
なお、リュープロレリン酢酸塩を主薬とし、マイクロカプセルの基剤を乳酸重合体とした持続性注射剤のリュープリンSRは12週間に1度の投与で良く、リュープリンPROは24週間に1度の投与で良い。