DDSに関する記述 94回薬剤師国家試験問178
94回薬剤師国家試験 問178
DDSに関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1 マトリックス型放出制御製剤では、薬物が高分子やワックスなどの基剤中に分散されており、基剤中の薬物分子の拡散や基剤の侵食(エロージョン)、溶解によって薬物が放出制御される。
2 ロンタブは、半透膜で被覆された錠剤であり、浸透圧を利用して徐放性を示す。
3 スパンタブは、フィルムコーティングした徐放性部を核とし、その外側を速放性部で囲み糖衣錠としたものである。
4 リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸-グリコール酸共重合体マイクロスフェアは、皮下投与後4週間にわたって主薬を放出させることができる。
94回薬剤師国家試験 問178 解答解説
◆ 1について
1 〇 マトリックス型放出制御製剤では、薬物が高分子やワックスなどの基剤中に分散されており、基剤中の薬物分子の拡散や基剤の侵食(エロージョン)、溶解によって薬物が放出制御される。
マトリックス型放出制御製剤は、放出制御膜が無く、主薬を含むマトリックスが放出制御機能を果たす。
以下にマトリックス型徐放錠とマトリックス型経皮吸収製剤の模式図を示す。
一方、リザーバー型放出制御製剤は、膜制御製剤とも呼ばれ、放出制御膜を有する製剤である。
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◆ 2について
2 × ロンタブは、半透膜で被覆された錠剤であり、浸透圧を利用して徐放性を示す。
ロンタブとは、速放性の外殻層と徐放性マトリックスの内殻錠からなる錠剤である。
なお、2の記述中の「半透膜で被覆された錠剤であり、浸透圧を利用して徐放性を示す」のは、
OROS(Osmotic controlled release oral delivery system)である。
関連問題
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◆ 3について
3 × スパンタブは、フィルムコーティングした徐放性部を核とし、その外側を速放性部で囲み糖衣錠としたものである。
スパンタブは、速放層と徐放性マトリックス層を2層や3層に重ね合わせた錠剤である。
なお、3の記述中の「フィルムコーティングした徐放性部を核とし、その外側を速放性部で囲み糖衣錠としたもの」は、レペタブである。
なお、3の記述中の「フィルムコーティングした徐放性部を核とし、その外側を速放性部で囲み糖衣錠としたもの」は、レペタブだと考えられる。
下図のように、速放性の外層と腸溶性コーティングされた内核錠から成る錠剤をレペタブと呼ぶ。
◆ 4について
4 〇 リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸-グリコール酸共重合体マイクロスフェアは、皮下投与後4週間にわたって主薬を放出させることができる。
リュープリン注は、生体内分解性高分子の乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)マイクロスフェアにリュープロレリン酢酸塩を封入した製剤であり、投与後、体内でPLGAが徐々に分解され、リュープロレリン酢酸塩が徐々に放出されるので、4週間に1回の皮下投与で良い製品となっている。
なお、リュープロレリン酢酸塩を含有した乳酸重合体マイクロスフェア製剤のリュープリンSR注は12週に1回の皮下投与、リュープリンPRO注は24週に1回の皮下投与で良い製品となっている。