リピッドマイクロスフェアとリポソーム 86回薬剤師国家試験問179c
86回薬剤師国家試験 問179c
薬物送達システム (DDS) に関する記述の正誤を判定してみよう。
c 大豆油とレシチンで調製したO/W型エマルションはリポソームとよばれ、生体適合性にすぐれ、また炎症部位に選択的に移行する薬物運搬体である。
86回薬剤師国家試験 問179c 解答解説
c × 大豆油とレシチンで調製したO/W型エマルションはリポソームとよばれ、生体適合性にすぐれ、また炎症部位に選択的に移行する薬物運搬体である。
→ 〇 大豆油とレシチンで調製したO/W型エマルションはリピッドマイクロスフェア(脂肪乳剤)とよばれ、生体適合性にすぐれ、また炎症部位に選択的に移行する薬物運搬体である。
リピッドマイクロスフェア(脂肪乳剤)とは、水中に植物油を界面活性剤のレシチンで乳化したo/w型エマルションであり、脂溶性薬物を油滴内に封入して投与できる。
リピッドマイクロスフェアは、投与後にマクロファージなどの免疫細胞に貪食される性質があり、炎症部位、血管損傷部位、動脈硬化部位などへ集積する特性があるので、これらの部位に薬物を送達する受動的ターゲティングに利用される。
リピッドマイクロスフェアの受動的ターゲティング製剤として、
アルプロスタジル注やデキサメタゾンパルミチン酸エステル注がある。
なお、リポソームとは、脂質二分子膜からなる閉鎖小胞で、脂質相および水相の両方の相を有しているため、脂溶性および水溶性いずれの薬物も包含することができる。
関連問題
・リピッドマイクロスフェア製剤のアルプロスタジル注射液 102回問280,281
・デキサメタゾンパルミチン酸エステルのリピッドマイクロスフェア製剤 93回問178の4