薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

DDS製剤に関する記述 92回薬剤師国家試験問178

92回薬剤師国家試験 問178
DDS製剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。

 

1 べクロメタゾンプロピオン酸エステルの鼻腔内投与製剤は、薬物の全身循環への吸収を目的としたものである。

 

2 硝酸イソソルビドを含有する経皮吸収型製剤は、狭心症発作時の救急処置に用いられる。

 

3 リュープロレリン酢酸塩を含有する乳酸・グリコール酸共重合体を用いたマイクロカプセルの注射剤は、薬物の持続的放出を目的としたものである。

 

4 プロゲステロンを含有する子宮内投与製剤は、主薬を長期間放出することで避妊効果を発現する。

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92回薬剤師国家試験 問178 解答解説

 

◆ 1について
1 × べクロメタゾンプロピオン酸エステルの鼻腔内投与製剤は、薬物の全身循環への吸収を目的としたものである。

 

ステロイド点鼻薬は、鼻粘膜に局所的に作用し、鼻炎を治療することを目的としたものである。

 

一方、薬物の全身循環への吸収を目的とした点鼻薬もある。
薬物の全身循環への送達に、点鼻が選択される理由として、
鼻粘膜から全身吸収された場合は、肝臓での初回通過効果を受けないこと,
経口投与ではバイオアベイラビリティが低い薬物であること等が挙げられる。

 

薬物の全身循環への送達を目的とした点鼻薬として、以下のものが挙げられる。
・デスモプレシン点鼻:中枢性尿崩症治療薬
・ブセレリン点鼻(スプレキュア点鼻液):Gn-RH誘導体の点鼻薬
・ナファレリン点鼻:Gn-RH誘導体の点鼻薬
・グルカゴン点鼻(バクスミー点鼻粉末):低血糖治療薬
・スマトリプタン点鼻(イミグラン点鼻):片頭痛治療薬

 

関連問題
ブセレリン酢酸塩の経鼻投与製剤は全身循環への吸収が目的?  84回問179a

 

 

◆ 2について
2 × 硝酸イソソルビドを含有する経皮吸収型製剤は、狭心症発作時の救急処置に用いられる。

 

経皮吸収製剤は、投与後の血中濃度の立ち上がりが緩やかであるので、発作の寛解を目的とした治療には不適である。
硝酸イソソルビドの経皮吸収製剤は、狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患の発作の予防を目的とした製剤であり、発作の寛解には用いられない。
狭心症発作の寛解には、ニトログリセリンや硝酸イソソルビドの舌下錠や舌下スプレー,口腔内スプレー等が用いられる。

 

経皮吸収製剤とは、薬物を皮膚に投与することにより、全身循環血に吸収させる製剤である。
経皮吸収製剤は次のような利点がある。
・長時間、製剤から徐々に薬物が放出されるため、薬物の血中濃度が一定に維持され、薬効が持続する。また、ゆっくりと吸収されるため、血中濃度の急な立ち上がりによる副作用の発現を抑えられる。
・皮膚から直接全身循環に入るため、肝臓での初回通過効果を回避できる。
・副作用が現れた時、貼付剤を剥がせばすぐに薬物の放出を中断できる。
・経口投与で問題となる消化管への副作用を回避できる。
・貼るだけで投与できるので、小児や高齢者にも使いやすい。

 

 

◆ 3について
3 〇 リュープロレリン酢酸塩を含有する乳酸・グリコール酸共重合体を用いたマイクロカプセルの注射剤は、薬物の持続的放出を目的としたものである。

 

詳細は下記のリンク先を参照
乳酸−グリコール酸共重合体マイクロスフェアー製剤 89回問174c

 

 

◆ 4について
4 〇 プロゲステロンを含有する子宮内投与製剤は、主薬を長期間放出することで避妊効果を発現する。

 

ミレーナは、子宮内黄体ホルモン放出システムと呼ばれ、子宮腔内に装着することで、黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを長期間放出する。ミレーナは、避妊,過多月経,月経困難症などに適応される。

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