デキサメタゾンパルミチン酸エステルを含有させたリピドマイクロスフィア製剤 84回薬剤師国家試験問179b
84回薬剤師国家試験 問179b
DDS製剤に関する次の記述の正誤を判定してみよう。
b デキサメタゾンパルミチン酸エステルを含有させたリピドマイクロスフィア製剤は、薬物の作用持続化を目的として用いられる。
84回薬剤師国家試験 問179b 解答解説
b × デキサメタゾンパルミチン酸エステルを含有させたリピドマイクロスフィア製剤は、薬物の作用持続化を目的として用いられる。
→ 〇 デキサメタゾンパルミチン酸エステルを含有させたリピッドマイクロスフェア製剤は、炎症部位への指向性の向上(ターゲティング)を目的とする。
◆ デキサメタゾンパルミチン酸エステル:リピッドマイクロスフェア製剤化の目的
デキサメタゾンパルミチン酸エステルのリピッドマイクロスフェア製剤(リポ化製剤)として、リメタゾン注がある。
リピッドマイクロスフェアとは、水中に植物油を界面活性剤のレシチンで乳化したo/w型エマルションであり、分散媒である注射用水に、植物油が分散相として分散している。リメタゾン注では、デキサメタゾンパルミチン酸エステルをダイズ油に溶解し、水中にその油滴を卵黄レシチンで乳化している。
リピッドマイクロスフェアは、投与後にマクロファージなどの免疫細胞に貪食される性質があり、炎症部位、血管損傷部位、動脈硬化部位などへ集積する特性があるので、これらの部位に薬物を送達する受動的ターゲティングに利用される。
リメタゾン注は、関節リウマチの治療薬であり、ステロイドのデキサメタゾンパルミチン酸エステルを炎症部位に送達する受動的ターゲティング製剤である。
◆ デキサメタゾンパルミチン酸エステル:プロドラッグ化の目的
デキサメタゾンパルミチン酸エステルは、水溶性のデキサメタゾンをパルミチン酸エステルとすることで、脂溶性が高められており、生体内のエステラーゼにより緩徐に加水分解を受け活性代謝物であるデキサメタゾンになり持続的な抗炎症作用を示す。
よって、デキサメタゾンをデキサメタゾンパルミチン酸エステルとするプロドラッグ化の目的は、作用の持続化であるといえる。