薬剤師国家試験過去問題集 DDSの総合問題

薬物を難溶化する目的  82回薬剤師国家試験問172

82回薬剤師国家試験 問172
薬物を難溶化し医薬品として用いる場合がある。次に難溶化される目的及び医薬品名を挙げた。正しいものの組合せはどれか。1〜6より1つ選びなさい。

 

・目 的
a 苦味の軽減
b 安定化
c 薬効の持続化

 

・医薬品名
イ アスピリンアルミニウム
ロ ベンジルペニシリンプロカイン
ハ エリスロマイシンステアリン酸塩
ニ クロラムフェニコールパルミチン酸エステル
ホ メチルテストステロン

 

薬物を難溶化する目的  82回薬剤師国家試験問172

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題 DDSの総合問題 一覧へ

 

 

82回薬剤師国家試験 問172 解答解説

 

正解は6である。

 

・目 的
a 苦味の軽減
b 安定化
c 薬効の持続化

 

・医薬品名
イ アスピリンアルミニウム
ロ ベンジルペニシリンプロカイン
ハ エリスロマイシンステアリン酸塩
ニ クロラムフェニコールパルミチン酸エステル
ホ メチルテストステロン

 

薬物を難溶化する目的  82回薬剤師国家試験問172

 

 

◆ イ:アスピリンアルミニウムについて
アスピリンをアルミニウムと結合させ、
アスピリンアルミニウムとすることで、
アスピリンによる胃障害を軽減している。

 

 

◆ ロ:ベンジルペニシリンプロカインについて
ベンジルペニシリン(ペニシリンG)は、水中で化学的に不安定で分解しやすい。
ベンジルペニシリン(ペニシリンG)は、プロカインとの難溶性塩とすることで、水中での安定性が向上し、薬効が持続化する。
このように、加水分解を受けやすいこと等により、水に不安定な薬物は、
水中での安定性を高めるために、あえて難溶性塩にして懸濁剤とすることがある。

 

 

◆ ハ:エリスロマイシンステアリン酸塩について
エリスロマイシンステアリン酸塩は、胃酸で失活しやすいエリスロマイシンをステアリン酸塩として難溶化することで、胃酸に対する安定性の向上を図っている。
また、エリスロマイシンエチルコハク酸エステルも、耐酸性を向上し、胃内安定性を高めたエリスロマイシンのプロドラッグである。
詳細は下記のリンク先を参照
エリスロマイシンエチルコハク酸エステル プロドラッグの目的 87回問172e

 

 

◆ ニ:クロラムフェニコールパルミチン酸エステル
クロラムフェニコールは、加水分解を受けやすく、苦みを感じやすい薬物である。
クロラムフェニコールパルミチン酸エステルとし、難溶化することで、水中での安定性が改善し、苦みが軽減される。
このように、プロドラッグ化は、化学的な安定性の改善や苦みの軽減のための方法の1つとなり得る。

 

 

◆ ホ:メチルテストステロンについて
テストステロンは肝初回通過効果を受けやすい。
メチルテストステロンとすることにより、肝初回通過効果が抑えられ、経口投与が可能となっている。
また、エチニルエストラジオールも同様に、肝初回通過効果を抑制し、経口投与を可能とした薬物である。

トップへ戻る