原子吸光光度法の原理 89回薬剤師国家試験問32abc

89回薬剤師国家試験 問32abc
原子吸光光度法に関する下記の記述の正誤を判定してみよう。

 

a 原子吸光光度法は、気化した原子の励起状態から基底状態への遷移に伴う光を測定する方法である。
b 原子吸光光度法で観測する波長は、紫外可視光(200〜800 nm)である。
c 原子吸光光度法による定量は、紫外可視吸光光度法と同様にランベルトーベール(Lambert-Beer)の法則に基づく。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題集 原子吸光光度法 一覧へ

 

 

89回薬剤師国家試験 問32abc 解答解説

 

a × 原子吸光光度法は、気化した原子の励起状態から基底状態への遷移に伴う光を測定する方法である。
→ 〇 原子吸光光度法は、気化した原子の基底状態から励起状態への遷移に伴う光を測定する方法である。

 

b 〇 原子吸光光度法で観測する波長は、紫外可視光(200〜800 nm)である。

 

c 〇 原子吸光光度法による定量は、紫外可視吸光光度法と同様にランベルト-ベール(Lambert-Beer)の法則に基づく。

 

 

原子吸光光度法は、物質を加熱などの方法で原子間の結合を切断して原子蒸気を生成し(原子化)、
そこへ特定波長の紫外光または可視光を照射し、
光が原子蒸気層を通過するとき、
原子の最外殻電子が基底状態から励起状態へ遷移(電子遷移)するのに伴い光を吸収する現象を利用し、
試料中の元素量を測定する方法である。
吸光度は原子蒸気層中の原子数および原子蒸気の厚さに比例し、ランベルト-ベールの法則に基づく。

 

最外殻電子の電子遷移を起こす光は波長200〜800nmの紫外可視光であり、
測定対象元素のみ電子遷移を起こす特定波長の光を照射する。
なお、イオン化した金属は原子吸光光度法で観測するための原子スペクトルを得られない。

 

原子吸光光度法では、光源の中空陰極ランプに測定元素と同じ元素を1つしか装着できず、また、原子化の方法も分析対象元素によって決まり、あらかじめ測定対象の元素がわかっていることが前提である。
よって、原子吸光光度法は定性分析には向かない。

 

★ 参考外部サイトリンク
原子吸光光度計の原理と応用(日本分析機器工業会さん)

トップへ戻る