原子吸光光度法での干渉 94回薬剤師国家試験問33の5
94回薬剤師国家試験 問33の5
下記の原子吸光光度法の記述の正誤を判定してみよう。
5 定量には、検量線法、標準添加法及び内標準法を用いるが、干渉やバックグラウンドの補正はほとんど必要ない。
94回薬剤師国家試験 問33の5 解答解説
5 × 定量には、検量線法、標準添加法及び内標準法を用いるが、干渉やバックグラウンドの補正はほとんど必要ない。
→ 〇 原子吸光光度法での定量には、検量線法、標準添加法及び内標準法を用いるが、干渉やバックグラウンドの補正が必要である。
原子吸光光度法において、
試料中に共存する測定対象元素以外の成分によりシグナルが増減することを干渉と呼ぶ。
干渉の種類として、分光干渉,化学干渉,イオン化干渉,物理干渉がある。
・分光干渉
共存成分が測定対象元素と同じ波長の光を吸収すること,
試料が光を散乱させることなど、分光的な要因による干渉である。
・化学干渉
原子化の際の化学反応により基底状態の原子の生成が抑制される干渉である。
化学干渉は測定元素の種類や試料の組成に依存する。
・イオン化干渉
イオン化した金属は原子吸光光度法で観測するための原子スペクトルを得られない。
イオン化干渉は測定対象元素がイオン化してしまうことで、中性原子の生成量が抑制される干渉である。
特にイオン化エネルギーの低いアルカリ金属やアルカリ土類金属は、
高温下でイオン化しやすいのでイオン化干渉が起こりやすい。
・物理干渉
試料溶液が炎の中に噴霧される際、試料溶液の粘度,表面張力,含有物の濃度などの違いは蒸発速度,霧化速度の違いとなり、それは炎に吸い込まれる試料の量を変化させ、結果として測定値が変化する。
物理干渉は測定元素の種類とは無関係である。
原子吸光光度法のバックグラウンドについては
下記のリンク先を参照
バックグラウンドとは(日立ハイテクサイエンスさん)