溶液の表面張力と溶質濃度の関係 正吸着・負吸着 105回薬剤師国家試験問49
105回薬剤師国家試験 問49
一定温度の水に溶解したとき、表面張力が図中のAの挙動を示す物質はどれか。1つ選べ。
1 1−オクタノール
2 エタノール
3 塩化ナトリウム
4 パルミチン酸
5 ラウリル硫酸ナトリウム
105回薬剤師国家試験 問49 解答解説
溶液の表面張力と溶質の種類に関する問題である。
正解は3の塩化ナトリウムである。
選択肢の各物質の濃度に対する水溶液の表面張力の推移について、
下記のように分類されると考えられる。
以下、詳細
溶液の表面張力は溶質の界面への吸着量と関係が深い。
・電解質溶液の表面張力
NaClなどの電解質が溶質の場合、電解質が解離して生成したイオンに水が強く水和することから、電解質イオンは表面よりも溶液内部に多く存在し、表面の溶質濃度は内部よりも低くなる。これを負吸着と呼ぶ。
負吸着を起こす溶質の溶液では、表面張力は溶質の濃度上昇と共に少しずつ大きくなる。
また、負吸着を起こす物質を界面不活性物質と呼ぶ。
・アルコール・脂肪酸の溶液の表面張力
アルコールや脂肪酸が溶質の場合、疎水性の炭化水素基は水中よりも表面にいる方が安定なため、
溶液内部よりも表面の方が溶質濃度は高くなる。これを正吸着と呼ぶ。
正吸着を起こす溶質の溶液では、表面張力は溶質の濃度上昇と共に小さくなる。
正吸着を起こして表面張力を低下させる性質を界面活性であるという。
・界面活性剤溶液の表面張力
界面活性剤は分子内に親水性基と疎水性基(親油性基)の両方を持つが、
疎水性の炭化水素基が大きいため、特に水溶液の表面に集まりやすく、少量で表面張力を大きく低下させる。
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