表面・界面張力に関する記述 99回薬剤師国家試験問94
99回薬剤師国家試験 問94
表面・界面張力に関する記述のうち正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 表面・界面張力は表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーとして表すことができ、その単位はJ/m2で表される。
2 油滴が水中に存在するとき、サイズが小さい油滴ほどエネルギー的に安定である。
3 界面活性剤とは、表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーを増大させる化合物の総称である。
4 食塩水は、純水に比べて表面張力が大きい。
5 ヘキサンは、純水に比べて表面張力が大きい。
99回薬剤師国家試験 問94 解答解説
◆ 1について
1 〇 表面・界面張力は表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーとして表すことができ、その単位はJ/m2で表される。
界面張力の単位はN・m−1または J・m−2である。
詳細は下記のリンク先を参照
界面張力の定義と単位 界面過剰ギブズ自由エネルギー 99回問94の1
◆ 2について
2 × 油滴が水中に存在するとき、サイズが小さい油滴ほどエネルギー的に安定である。
→ 〇 油滴が水中に存在するとき、サイズが大きい油滴ほどエネルギーが小さく安定である。
水中の油滴を放置すると、自発的に油滴同士がくっついて大きくなる。
自発的な変化はギブズ自由エネルギー(G)の減少する方向へ進むため、
サイズが大きい油滴ほどエネルギーが小さく安定であると考えられる。
◆ 3について
3 × 界面活性剤とは、表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーを増大させる化合物の総称である。
→ 〇 界面活性剤とは、表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーを低下させる化合物の総称である。
界面活性剤とは、界面に吸着して界面張力を著しく低下させる化合物である。
界面張力は界面過剰ギブズ自由エネルギーであるので、
界面活性剤は表面・界面過剰ギブズ自由エネルギーを低下させる化合物であるといえる。
◆ 4について
4 〇 食塩水は、純水に比べて表面張力が大きい。
溶液の表面張力と溶質の種類に関する問題である。
NaClなどの電解質が溶質の場合、電解質が解離して生成したイオンに水が強く水和することから、電解質イオンは表面よりも溶液内部に多く存在し、表面の溶質濃度は内部よりも低くなる。これを負吸着と呼ぶ。
負吸着を起こす溶質の溶液では、表面張力は溶質の濃度上昇と共に少しずつ大きくなる。
関連問題
溶液の表面張力と溶質濃度の関係 正吸着・負吸着 105回問49
◆ 5について
5 × ヘキサンは、純水に比べて表面張力が大きい。
→ 〇 ヘキサンは、純水に比べて表面張力が小さい。
物質の極性・分子間力と表面張力の関係について、大まかな傾向は下記の通り。
・極性が大きく分子間力が強い物質ほど、表面張力は大きい。
・極性が小さく分子間力が弱い物質ほど、表面張力は小さい。
ヘキサンは水に比べて分子間力は弱いので、
ヘキサンは純水に比べて表面張力が小さい。
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