ぬれの種類とぬれに伴う仕事 83回薬剤師国家試験問168

83回薬剤師国家試験 問168
ぬれに関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

a ぬれは、固体−気体界面を固体−液体界面におきかえる現象として取扱うことができる。
b 浸漬ぬれは、液体が固体表面を毛細管現象でぬらす場合にあてはまる。
c 付着ぬれの現象は、接触角(θ)が0°の時にのみ生ずる。
d 浸漬ぬれに伴う仕事は、γL(cosθ−1)で表される。ただし、γLは液体の表面張力である。

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83回薬剤師国家試験 問168 解答解説

 

a 〇 ぬれは、固体−気体界面を固体−液体界面におきかえる現象として取扱うことができる。

 

b 〇 浸漬ぬれは、液体が固体表面を毛細管現象でぬらす場合にあてはまる。

 

c × 付着ぬれの現象は、接触角(θ)が0°の時にのみ生ずる。
→ 〇 付着ぬれの現象は、接触角(θ)が0°≦θ<180°の時に生じる。

 

d × 浸漬ぬれに伴う仕事は、γL(cosθ−1)で表される。ただし、γLは液体の表面張力である。

 

浸透ぬれのギブズエネルギー変化(凾f浸透)は次式で表される。
浸透 = γSL − γS
ヤングの式:γS = γSL + γL・cosθ より、
浸透 = −γL・cosθ
これより、浸透ぬれに伴う仕事(W 浸透)は、
W浸透 = γL・cosθ
で表される。

 

以下、詳細

 

ぬれとは、固体−気体界面に液体が接触し、固体−気体界面が固体−液体界面に置き換わる現象である。
ぬれは、拡張ぬれ、浸透ぬれ(浸漬ぬれ)、付着ぬれの3種類に分類される。

 

・拡張ぬれ
拡張ぬれは下の図のように接触角0°で固体表面を液体が広がる場合である。

 

ぬれの種類とぬれに伴う仕事 83回薬剤師国家試験問168

 

拡張ぬれのギブズエネルギー変化(凾f拡張)は次式で表される。
拡張 = γSL + γL − γS
ヤングの式:γS = γSL + γL・cosθ より、
拡張 = γL(1− cosθ)
これより、拡張ぬれに伴う仕事(W 拡張)は、
W 拡張 = −γL(1− cosθ)で表される。

 

 

・浸透ぬれ(浸漬ぬれ)
浸透ぬれ(浸漬ぬれ)とは、下の図のように液体が固体表面を毛細管現象でぬらす場合である。
浸透ぬれ(浸漬ぬれ)は接触角θが0°≦θ<90°の範囲で起こる。

 

ぬれの種類とぬれに伴う仕事 83回薬剤師国家試験問168

 

浸透ぬれのギブズエネルギー変化(凾f浸透)は次式で表される。
浸透 = γSL − γS
ヤングの式:γS = γSL + γL・cosθ より、
浸透 = −γL・cosθ
これより、浸透ぬれに伴う仕事(W 浸透)は、
W浸透 = γL・cosθ
で表される。

 

 

・付着ぬれ
付着ぬれは接触角θが0°≦θ<180°の範囲で起こり、固体表面に液体が付着するぬれである。

 

ぬれの種類とぬれに伴う仕事 83回薬剤師国家試験問168

 

付着ぬれのギブズエネルギー変化(凾f付着)は次式で表される。
付着 = γSL − (γS + γL)
ヤングの式:γS = γSL + γL・cosθ より、
付着 = −γL(cosθ + 1)
これより、付着ぬれに伴う仕事(W 付着)は、
W付着 = γL(cosθ + 1)
で表される。

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