92回薬剤師国家試験問20 界面に関する記述

92回薬剤師国家試験 問20
界面に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 極性が小さく分子間力が弱い液体ほど、空気と液体の界面に働く表面張力は大きい。
b 界面張力は、単位面積の界面をつくるのに要する仕事量である。
c 界面活性剤は、界面張力を上昇させる作用をもつ。
d 界面活性剤は、水中あるいは油中で、ミセル、ベシクルあるいは逆ミセルを形成する。
e 表面張力の測定法として、毛管上昇法などがある。

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92回薬剤師国家試験 問20 解答解説

 

◆ aについて
a × 極性が小さく分子間力が弱い液体ほど、空気と液体の界面に働く表面張力は大きい。

 

物質の極性・分子間力と表面張力の関係について、大まかな傾向は下記の通り。
・極性が大きく分子間力が強い物質ほど、表面張力は大きい。
・極性が小さく分子間力が弱い物質ほど、表面張力は小さい。

 

関連問題
表面張力が最も大きい物質はどれか 100回問50

 

 

◆ bについて
b 〇 界面張力は、単位面積の界面をつくるのに要する仕事量である。

 

界面張力は単位長さあたりの力として表され、その単位はN/mである。
また、界面張力は、界面張力に逆らって新たに単位面積の界面をつくるのに要する仕事量としても表される。
この場合、単位はJ/m2で表される。

 

詳細は下記のリンク先を参照
界面張力の定義と単位 99回問94の1

 

 

◆ cについて
c × 界面活性剤は、界面張力を上昇させる作用をもつ。
→ 〇 界面活性剤は、界面張力を低下させる作用をもつ。

 

界面活性剤は親水性基と疎水性基の両方を持ち、
添加されると界面に選択的に吸着し、
少量で界面張力を大きく低下させる作用を持つ。

 

 

◆ dについて
d 〇 界面活性剤は、水中あるいは油中で、ミセル、ベシクルあるいは逆ミセルを形成する。

 

ミセルとは、水中において、界面活性剤同士が疎水性基を内側に向け、親油性基を外側に向けて集合した会合体である。

 

表面張力と極性・分子間力・仕事量 92回薬剤師国家試験問20

 

逆ミセルとは、油中(有機溶媒中)において、界面活性剤同士が親水性基を内側に向け、疎水性基を外側に向けて会合することにより形成されるミセルのことである。
表面張力と極性・分子間力・仕事量 92回薬剤師国家試験問20

 

ベシクル(リポソーム)とは脂質や界面活性剤の二分子膜から成る小胞で、内部に水などの分散媒が閉じこまれている。

 

表面張力と極性・分子間力・仕事量 92回薬剤師国家試験問20

 

◆ eについて
e 〇 表面張力の測定法として、毛管上昇法などがある。

 

表面張力の測定法として、毛管上昇法、円環法、滴重法、つり板法(ウィルヘルミー法)などがある。

 

参考外部サイトリンク
表面張力の測定方法(あすみ技研さん)

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