プロドラッグとした理由 87回薬剤師国家試験問172
87回薬剤師国家試験 問172
[T]欄の医薬品のプロドラッグを[U]欄に示す。[V]欄にはプロドラッグとした理由を記述してある。[V]欄の記述のうち、正しいものはどれか。a〜eより2つ選びなさい。
87回薬剤師国家試験 問172 解答解説
正解はcとdである。
◆ a:ドキシフルリジンについて
ドキシフルリジン(フルツロン)は、腫瘍細胞での選択的活性化を目的とした5-フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグである。
詳細は下記のリンク先を参照
ドキシフルリジンとカペシタビンのプロドラッグ化の目的 87回問172a
◆ b:ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウムについて
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(サクシゾン,ソル・コーテフ)は、
塩にすることで水溶性を高めたヒドロコルチゾンのプロドラッグであり、主に注射剤として投与されている。
◆ c:フルスルチアミンについて
フルスルチアミン(アリナミン)は、チアミン(ビタミンB1)を親化合物とするプロドラッグであり、その目的は消化管での安定性の向上、および、受動拡散の促進による消化管吸収の改善である。
詳細は下記のリンク先を参照
フルスルチアミンのプロドラッグ化の目的 108回問171の2
◆ d:レボドパ
レボドパは、ドパミンを親化合物とするプロドラッグであり、その目的はドパミンの脳内への移行性改善である。
詳細は下記のリンク先を参照
レボドパ プロドラッグの目的 108回問171の1
◆ e:エリスロマイシンエチルコハク酸エステル
リスロマイシンエチルコハク酸エステルは、耐酸性を向上し、胃内安定性を高めたプロドラッグであるが、エリスロマイシンに比べて水溶性は低下している。
エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、体内でエステル結合が加水分解され、エリスロマイシンとして作用するプロドラッグである。
エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、胃酸で分解しやすいエリスロマイシンをエチルコハク酸エステルとすることで、胃酸に対する安定性を向上させ、胃内での分解の抑制を図っている。
エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、エリスロマイシンに比べて水溶性は低下している。
エリスロマイシンは胃酸で失活しやすいため、胃内安定性の向上を目的として様々なタイプの製品が販売されている。
エリスロシン錠はエリスロマイシンステアリン酸塩製剤、
エリスロシンドライシロップ,エリスロシンW顆粒はエリスロマイシンエチルコハク酸エステル製剤、
エリスロマイシン錠「サワイ」はエリスロマイシン腸溶錠である。