消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグ 99回薬剤師国家試験問55
99回薬剤師国家試験 問55
消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグはどれか。1つ選びなさい。
1 テモカプリル塩酸塩
2 ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム
3 アセメタシン
4 カンデサルタンシレキセチル
5 エリスロマイシンステアリン酸塩
99回薬剤師国家試験 問55 解答解説
消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグは、
3のアセメタシンである。
アセメタシン(ランツジールコーワ)は、インドメタシンのグリコール酸エステルであり、経口投与後、生体内でエステル結合が加水分解され、活性代謝物のインドメタシンを生成するプロドラッグのNSAIDsである。
アセメタシンは、消化管から吸収された後、インドメタシンに変換されるので、インドメタシンよる消化管障害が軽減されている。
以下、他の選択肢について
1のテモカプリル塩酸塩(エースコール)は、テモカプリルラートのエチルエステルであり、
経口投与後、生体内でカルボキシエステラーゼによりエステル結合が加水分解され、活性代謝物のテモカプリラートを生成するプロドラッグのACE阻害薬である。
テモカプリルは、テモカプリラートのエチルエステルとすることで、脂溶性を高め、生体膜透過性を高めることで、消化管からの吸収を改善している。
2のヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(サクシゾン,ソル・コーテフ)は、
塩にすることで水溶性を高めたヒドロコルチゾンのプロドラッグであり、主に注射剤として投与されている。
4のカンデサルタンシレキセチル(ブロプレス)は、経口投与後にエステル結合が小腸のカルボキシエステラーゼで加水分解され、活性代謝物のカンデサルタンを生成するプロドラッグのアンギオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)である。
カンデサルタンシレキセチルは、カンデサルタンのカルボン酸部分をシレキセチル基のエステルとすることで、脂溶性を高め、生体膜透過性を高めることで、消化管からの吸収を改善している。
5のエリスロマイシンステアリン酸塩は、体内でエリスロマイシンに解離するプロドラッグである。
エリスロマイシンステアリン酸塩は、胃酸で失活しやすいエリスロマイシンをステアリン酸塩とすることで、胃酸に対する安定性の向上を図っている。
また、エリスロマイシンエチルコハク酸エステルも、耐酸性を向上し、胃内安定性を高めたエリスロマイシンのプロドラッグである。
詳細は下記のリンク先を参照
エリスロマイシンエチルコハク酸エステル プロドラッグの目的 87回問172e
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