プロドラッグの目的 88回薬剤師国家試験問171
88回薬剤師国家試験 問171
医薬品(A欄)とその消化管吸収改善を目的としたプロドラッグ(B欄)の対応として正しいものはどれか。
2つ選びなさい。
88回薬剤師国家試験 問171 解答解説
医薬品(A欄)とその消化管吸収改善を目的としたプロドラッグ(B欄)の対応として正しいものは、aとdである。
◆ a:バカンピシリンについて
バカンピシリン(ペングッド)は、アンピシリンを親化合物としてエステル化したプロドラッグであり、その目的は消化管内での安定性向上および受動拡散の促進による消化管吸収の増大である。
アンピシリンは酸に不安定であり、かつ、アミノ基とカルボキシ基がイオン化するので、消化管からの吸収が悪い。
バカンピシリンは、アンピシリンのエステル化合物とすることで、消化管内のpHでの安定性向上、かつ、脂溶性を高め、生体膜透過性を高めることで、受動拡散による消化管吸収の増大が図られている。
バカンピシリンは、消化管から吸収された後、エステル結合が加水分解され、アンピシリンとなる。
◆ b:ドキシフルリジンについて
ドキシフルリジン(フルツロン)は、腫瘍細胞での選択的活性化を目的とした5-フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグである。
詳細は下記のリンク先を参照
ドキシフルリジンとカペシタビンのプロドラッグ化の目的 87回問172a
◆ c:テストステロンプロピオン酸エステルについて
テストステロンプロピオン酸エステルはテストステロンを親化合物とするプロドラッグであり、その目的は作用の持続化である。テストステロンプロピオン酸エステルは、生体内で徐々にエステル結合が加水分解されてテストステロンを生成するので、作用が持続する。
◆ d:フルスルチアミンについて
フルスルチアミン(アリナミン)は、チアミン(ビタミンB1)を親化合物とするプロドラッグであり、その目的は消化管での安定性の向上、および、受動拡散の促進による消化管吸収の改善である。
詳細は下記のリンク先を参照
フルスルチアミンのプロドラッグ化の目的 108回問171の2