プロドラッグに関する記述 89回薬剤師国家試験問168
89回薬剤師国家試験 問168
プロドラッグに関する記述のうち、正しいものはどれか。2つ選びなさい。
a アセメタシンは、インドメタシンの消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグである。
b カルモフールは、フルオロウラシルの溶解性の改善を目的としたプロドラッグである。
c バカンピシリン塩酸塩は、アンピシリンの作用の持続化を目的としたプロドラッグである。
d エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、エリスロマイシンの胃内における安定性の増加を目的としたプロドラッグである。
89回薬剤師国家試験 問168 解答解説
◆ aについて
a 〇 アセメタシンは、インドメタシンの消化管障害の軽減を目的としたプロドラッグである。
アセメタシン(ランツジールコーワ)は、インドメタシンのグリコール酸エステルであり、経口投与後、生体内でエステル結合が加水分解され、活性代謝物のインドメタシンを生成するプロドラッグのNSAIDsである。
アセメタシンは、消化管から吸収された後、インドメタシンに変換されるので、インドメタシンよる消化管障害が軽減されている。
◆ bについて
b × カルモフールは、フルオロウラシルの溶解性の改善を目的としたプロドラッグである。
カルモフールは、フルオロウラシルのプロドラッグであり、
作用の持続化を目的としたプロドラッグである。
カルモフールは日本での販売を終了している。
カルモフールの類似薬のテガフールも、作用の持続化を目的とした5-フルオロウラシル(5-FU)のプロドラッグである。テガフールは、生体内で肝臓のCYP2A6などで代謝され5-FUとなるが、
テガフールは徐々に5-FUに変換されるので、作用が持続する。
他、5-FUのプロドラッグとして、ドキシフルリジンとカペシタビン(ゼローダ)が有名であり、
これらは腫瘍細胞内での選択的活性化を目的としている。
詳細は下記のリンク先を参照
ドキシフルリジンとカペシタビンのプロドラッグ化の目的 87回問172a
◆ cについて
c × バカンピシリン塩酸塩は、アンピシリンの作用の持続化を目的としたプロドラッグである。
バカンピシリン塩酸塩(ペングッド)は、アンピシリンを親化合物としてエステル化したプロドラッグであり、その目的は消化管内での安定性向上および受動拡散の促進による消化管吸収の増大である。
詳細は下記のリンク先を参照
バカンピシリン プロドラッグの目的 96回問178の1>
◆ dについて
d 〇 エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、エリスロマイシンの胃内における安定性の増加を目的としたプロドラッグである。
エリスロマイシンエチルコハク酸エステルは、耐酸性を向上し、胃内安定性を高めたエリスロマイシンのプロドラッグである。
詳細は下記のリンク先を参照
エリスロマイシンエチルコハク酸エステル プロドラッグの目的 87回問172e