88回薬剤師国家試験問27 粉末X線回折法

88回薬剤師国家試験 問27
日本薬局方における粉末X線回折測定法の記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

a 本法は、結晶性の粉末試料にX線を照射し、その物質中の原子核を強制振動させることにより生ずる干渉性散乱X線による回折強度を、各回折角について測定する方法である。

 

b ある結晶面からの回折X線の方向は、ブラッグの法則
2d(hkl) sinθ =nλ
で規定される。
ここでd (hkl)は結晶面(hkl)の面間距離、
2θは回折角度、λはX線の波長、nは反射次数を示している。

 

c 原則として測定試料を微粉末にするのは、入射X線に対して試料の各結晶面がありとあらゆる方向に向いた結晶の集合体として取り扱えるからである。

 

d 2種類の粉末X線回折パターンの回折角度とその相対強度比が同じ場合、両者は同一物質であると言える。

 

e 本法が結晶多形の確認に用いられるのは、そのX線回折パターンが結晶中での分子のつまり方の差異を反映するためである。

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88回薬剤師国家試験 問27

 

◆ aについて
a × 本法は、結晶性の粉末試料にX線を照射し、その物質中の原子核を強制振動させることにより生ずる干渉性散乱X線による回折強度を、各回折角について測定する方法である。

 

→ 〇 本法は、結晶性の粉末試料にX線を照射し、その物質中の電子を強制振動させることにより生ずる干渉性散乱X線による回折強度を、各回折角について測定する方法である。

 

 

◆ bについて
b 〇 ある結晶面からの回折X線の方向は、ブラッグの法則
2d(hkl) sinθ =nλ
で規定される。
ここでd (hkl)は結晶面(hkl)の面間距離、
2θは回折角度、λはX線の波長、nは反射次数を示している。

 

なお、h,k,lはミラー指数と呼ばれ、結晶面とその方向を示す指数である。

 

ブラッグの法則については下記のリンク先を参照
X線回折とブラッグの式 96回問25b

 

 

◆ cについて
c 〇 粉末X線回折測定法において原則として測定試料を微粉末にするのは、入射X線に対して試料の各結晶面がありとあらゆる方向に向いた結晶の集合体として取り扱えるからである。

 

各結晶面がありとあらゆる方向に向いた結晶の集合体となっている状態を無配向化という。
X線の回折が起こるにはブラッグの法則を満たすことが条件だが、
無配向化することで、いずれの角度においても回折が可能となる方向を向く微結晶が存在するようにできる。
無配向化するために試料を乳鉢などで粉砕する。

 

 

◆ dについて
d 〇 2種類の粉末X線回折パターンの回折角度とその相対強度比が同じ場合、両者は同一物質であると言える。

 

 

◆ eについて
e 〇 粉末X線回折測定法が結晶多形の確認に用いられるのは、そのX線回折パターンが結晶中での分子のつまり方の差異を反映するためである。

 

詳細は下記のリンク先を参照
粉末X線回折測定法での結晶多形の確認 91回問24b

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