粉末X線回折測定法での結晶多形の確認 91回問24ab
91回薬剤師国家試験 問24ab
下記の記述の正誤を判定してみよう。
a 結晶多形とは、同じ化学構造を持つ物質が異なる結晶構造を取りうる現象である。
b 粉末X線回折測定法が結晶多形の確認に用いられるのは、結晶中に存在している分子の幾何学的配置の状態が多形間で互いに異なることによる。
91回薬剤師国家試験 問24ab 解答解説
a 〇 結晶多形とは、同じ化学構造を持つ物質が異なる結晶構造を取りうる現象である。
b 〇 粉末X線回折測定法が結晶多形の確認に用いられるのは、結晶中に存在している分子の幾何学的配置の状態が多形間で互いに異なることによる。
結晶多形とは分子・イオンの化学構造は同じだが、結晶中の原子・分子・イオンの配列(つまり方)が異なり結晶構造が異なるものを指す。
粉末X線回折法では、分子配列の差異がピークの回折角度の差異として反映されるので、
結晶多形の確認ができる。
粉末X線回折測定法は結晶、結晶多形及び溶媒和結晶の同定、判定、定量、結晶化度の評価などに用いることができる。
下記のA〜Dは同一分子の試料の粉末X線回折パターンである。
試料Aと試料Bはピークの位置が同じ(回折角が同じ)なので同じ結晶構造である。
AとCおよびBとCは回折角が異なるので互いに結晶多形の関係にある。
なお、Dのように散漫性の極大をもつスペクトルをハローパターンと呼ぶ。
これは分子の配列に規則性がない非晶質や結晶性の著しく低下した試料であることを示す。