92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

92回薬剤師国家試験 問167
ある薬物の固体Aに粉砕や再結晶などの処理を加えたところ、下記の粉末X線回折パターンを与える固体B〜Dが得られた。
次の記述について正しいものはどれか。ただし、これらの処理により、化学的変化は起こらず、また固体の組成に変化はないものとする。

 

92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

 

a 固体Aと固体Bでは結晶の単位格子の大きさが異なる。
b 固体Cは固体Aの結晶多形である。
c 固体Bと固体Cの結晶構造は同じであるが、結晶の外観が異なる。
d 固体D内の分子の配列に規則性がない。

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92回薬剤師国家試験 問167

 

◆ aについて
a × 固体Aと固体Bでは結晶の単位格子の大きさが異なる。
→ 〇 固体Aと固体Bでは結晶の単位格子の大きさは同じである。

 

92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

 

固体Aと固体Bの回折パターンは回折角が同じなので、
AとBの結晶構造は同一であり、それゆえAとBの結晶の単位格子の大きさは同じだと考えられる。

 

 

◆ bについて
b 〇 固体Cは固体Aの結晶多形である。

 

固体Aと固体Cの回折パターンは回折角が異なるので、
AとCは互いに結晶多形の関係にあると考えられる。

 

結晶多形とは分子の化学構造は同じだが、
結晶中の分子の配列(分子のつまり方)が異なり結晶構造が異なるものを指す。

 

92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

 

 

◆ cについて
c × 固体Bと固体Cの結晶構造は同じであるが、結晶の外観が異なる。

 

固体Bと固体Cの回折パターンは回折角が異なるので、
BとCは互いに結晶多形の関係にあると考えられる。

 

92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

 

 

◆ dについて
d 〇 固体D内の分子の配列に規則性がない。

 

Dのように散漫性の極大をもつスペクトルをハローパターンと呼ぶ。
これは分子の配列に規則性がない非晶質や結晶性の著しく低下した試料であることを示す。

 

92回薬剤師国家試験問167 粉末X線回折パターン

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