乾燥剤 薬学無機化学 薬剤師国家試験87回問12
第87回薬剤師国家試験 問12
次の実験操作を行ったときのその抽出液と乾燥剤との関係についての記述のうち,正しいものどれか。全て選びなさい。ただし,乾燥剤はすべて無水物を用いている。
a フェノールをジエチルエーテルで抽出し,塩化カルシウムで乾燥した。
b 安息香酸をジエチルエーテルで抽出し,酸化カルシウムで乾燥した。
c アニリンをジエチルエーテルで抽出し,炭酸カリウムで乾燥した。
d ベンズアルデヒドをジエチルエーテルで抽出し,硫酸ナトリウムで乾燥した。
第87回薬剤師国家試験 問12 解答解説
どれも親油性の物質なので抽出液としてはジエチルエーテルで抽出できる。
次に、抽出物質と乾燥剤の組み合わせの吟味であるが、両者が化学反応を起こさず、水だけが乾燥剤で取り除かれるかどうかを考える。
◆ aについて
a × フェノールをジエチルエーテルで抽出し,塩化カルシウムで乾燥した。
フェノールは酸性物質で塩化カルシウム(CaCl2)は中性の乾燥剤であるが、フェノールの−OH基が塩化カルシウムのCa2+に対して配位し、キレートを形成してしまうのでこの組み合わせは適切ではない。
◆ bについて
b × 安息香酸をジエチルエーテルで抽出し,酸化カルシウムで乾燥した。
安息香酸は酸性物質で、酸化カルシウム(CaO)は塩基性物質であるため、両者は酸塩基反応を起こしてしまう。よって、この組み合わせは適切でない。
◆ cについて
c 〇 アニリンをジエチルエーテルで抽出し,炭酸カリウムで乾燥した。
アニリンは塩基性物質で、炭酸カリウム(K2CO3)は塩基性物質なので、両者は酸塩基反応を起こさない。
◆ dについて
d 〇 ベンズアルデヒドをジエチルエーテルで抽出し,硫酸ナトリウムで乾燥した。
ベンズアルデヒドは中性物質で、硫酸ナトリウムは中性物質であり、両者は酸塩基反応を起こさない。
★参考外部サイトリンク
有機合成の脱水で用いられる乾燥剤の基本とまとめ(ネットdeカガクさん)