酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

103回薬剤師国家試験 問100 
図は、ある酸素化学種の分子軌道のエネルギー準位と電子配置を模式的に表したものである。この酸素化学種はどれか。1つ選びなさい。

 

酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

 

1 一重項酸素 2 三重項酸素 3 スーパーオキシド(O2) 
4 過酸化物イオン(O22−) 5 オゾン

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103回薬剤師国家試験 問100 解答解説

 

酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

 

正解は、選択肢3のスーパーオキシド(O2)である。
総電子数を数えると17個であることから、これはスーパーオキシド(O2)のものであるとわかる。
スーパーオキシド(O2)は、1つにつき8個の電子を持つ酸素原子が2つあり、かつ、1価の陰イオンで電子を1つ受け取っている状態なので、総電子数が17個である。

 

他の選択肢について

 

一重項,三重項の電子の入り方は下記の通り。

 

一重項:2つの電子が、1つの軌道に互いにスピンの向きを逆平行にして入る状態
三重項:2つの電子が、それぞれ別の軌道に互いにスピンの向きを平行にして入る状態

 

 

◆1:一重項酸素
1の一重項酸素(1O2)は、総電子数が16個であり、
π2p軌道の電子の入り方は下記の通り。

 

酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

 

このように、一重項酸素では、
2つあるπ2p軌道の片方に、2個の電子が2つとも入る。
一重項酸素では、空のπ2p軌道が1つあるので、ここへ入る電子を強く欲しがる。
そのため、一重項酸素(1O2)は、後述する三重項酸素(3O2)に比べ、反応性が高く、不安定だと考えられる。

 

◆2:三重項酸素
2の三重項酸素(3O2)は、総電子数が16個であり、
π2p軌道の電子の入り方は下記の通り。

 

酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

 

このように、三重項酸素では、
2つのπ2p軌道に、電子が1つずつスピンの向きを同じにして入る。

 

ほとんどの分子では、一重項の状態がより安定であるので、通常、一重項となっている。
しかし、酸素分子は例外で、三重項の方がより安定であるので、
通常、酸素分子は三重項(3O2)となっている。

 

 

◆4:過酸化物イオン(O22−
4の過酸化物イオン(O22−)は総電子数が18個であり、
π2p軌道の電子の入り方は下記の通り。

 

酸素化学種の分子軌道 電子配置 薬剤師国家試験103回問100

 

 

関連問題
活性酸素種でないのはどれか 109回問7

 

 

★参考外部サイトリンク
活性酸素の生化学pdf(徳島大学さん)

 

フリーラジカルと活性酸素(Tidbits -ちびっつ-さん)

 

 

★他サイトさんの解説へのリンク
103回問100(e-RECさん)

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