薬物のアルブミンに対する結合定数の計算 104回薬剤師国家試験問165
104回薬剤師国家試験 問165
ある薬物のアルブミンに対する結合定数を、平衡透析法を用いて測定した。半透膜で隔てた2つの透析セルの一方に0.6mmol/Lのアルブミン溶液を加え、他方には0.6mmol/Lの薬物溶液を同容積加えた。平衡状態に達したとき、アルブミン溶液中の薬物濃度は0.4mmol/L、他方の薬物濃度は0.2mmol/L であった。薬物の結合定数K(L/mmol)に最も近い値はどれか。1つ選びなさい。ただし、アルブミン1分子当たりの薬物の結合部位数を1とし、薬物及びアルブミンは容器や膜に吸着しないものとする。
1 2.5
2 3.3
3 5.0
4 6.6
5 10
104回薬剤師国家試験 問165 解答解説
正解は1の2.5(L/mmol)である。
タンパク質1分子に薬物1分子が結合する場合、
薬物のタンパク質に対する結合は、次式で表される。
Pf + Df ⇄ P−D
Pf:非結合型タンパク質
Df:非結合型薬物
P−D:タンパク質−薬物複合体
この可逆反応の平衡定数は、薬物のタンパク質に対する結合定数Kと呼ばれ、
次式で表される。
平衡透析法においては、非結合型薬物のみが半透膜を透過し、
平衡状態では、2つのセルの非結合型薬物濃度は等しくなる。
タンパク質溶液側の薬物濃度は、結合型薬物濃度+非結合型薬物濃度であり、
緩衝液側(タンパク質が無い溶液側)の薬物濃度は、非結合型薬物濃度である。
本問では、最初は緩衝液側(タンパク質が無い溶液側)のみに薬物が入っており、
その濃度は0.6mmol/Lであった。
平衡状態に達すると、アルブミン溶液中の薬物濃度は0.4mmol/L、
緩衝液側の薬物濃度は0.2mmol/L であった。
この結果より、
平衡状態の結合型薬物濃度と非結合型薬物濃度を次のように算出できる。
平衡状態の緩衝液側の薬物濃度が0.2mmol/Lであるため、
非結合型薬物濃度 = 0.2mmol/L である。
平衡状態のアルブミン溶液中の薬物濃度より、
結合型薬物濃度+非結合型薬物濃度 = 0.4mmol/L
結合型薬物濃度 = 0.4mmol/L−非結合型薬物濃度
= 0.4mmol/L−0.2mmol/L
= 0.2mmol/L
さらに、平衡状態の非結合型アルブミン濃度も以下のように求められる。
実験開始時の内液のアルブミン濃度が0.6mmol/Lであるので、
平衡状態のアルブミン濃度について、次式が成り立つ。
非結合型アルブミン濃度 = 0.6mmol/L−結合型アルブミン濃度
本問では、アルブミン1分子に薬物1分子が結合するので、
結合型アルブミン濃度 = 結合型薬物濃度 が成り立つ。
したがって、
非結合型アルブミン濃度 = 0.6mmol/L−0.2mmol/L = 0.4mmol/L
以上より、本問の結合定数Kを次のように計算できる。
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