疎水コロイドに電解質が共存することによる電気二重層と分散状態の変化 104回薬剤師国家試験問171の2,3
104回薬剤師国家試験 問171の2,3
コロイド分散系の性質に関する記述の正誤を判定してみよう。
2 疎水コロイドに電解質が共存すると粒子表面の電気二重層は厚くなり、分散状態は不安定となる。
3 疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は大きくなる。
104回薬剤師国家試験 問171の2,3 解答解説
2 × 疎水コロイドに電解質が共存すると粒子表面の電気二重層は厚くなり、分散状態は不安定となる。
→ 〇 疎水コロイドに電解質が共存すると粒子表面の電気二重層は薄くなり、分散状態は不安定となる。
3 × 疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は大きくなる。
→ 〇 疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は小さくなる。
疎水コロイドの粒子表面には電気二重層が形成されており、
この層がコロイド粒子間に静電反発力を生じさせ、凝集を抑制することで、分散状態の安定に寄与している。
疎水コロイドに電解質を添加すると、
電解質の電荷によりコロイド粒子表面の電気二重層の電荷が中和され、電気二重層は薄くなり、
コロイド粒子間の静電反発力が小さくなり、凝集しやすくなるので、分散状態は不安定となる。
疎水コロイド液に電解質を添加していくと、疎水コロイド粒子同士の凝集が進み、いずれ析出して白濁(凝析)する。
コロイド粒子を凝析させるのに要する電解質の最小濃度を凝析価という。
疎水コロイドの電荷と反対符号のイオンの価数が大きくなるほど、凝析価(mol/L)は小さくなる。