コロイドに関する記述 95回薬剤師国家試験問171

95回薬剤師国家試験 問171
コロイドに関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 親水コロイド溶液にエチルアルコールを添加すると、コロイドに富む相と希薄な相に分離するコアセルベーションが起こる。
b コロイド溶液に光をあてると、コロイド粒子が光を散乱するブラウン運動が起こる。
c コロイド粒子は分散媒分子の衝突を受けて、不規則な運動をするチンダル現象を示す。
d 分散粒子が荷電していると、対イオンが分散粒子のまわりに引き寄せられ、粒子と分散媒の界面近傍で電気二重層を形成する。

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95回薬剤師国家試験 問171 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 親水コロイド溶液にエチルアルコールを添加すると、コロイドに富む相と希薄な相に分離するコアセルベーションが起こる。

 

高分子溶液において、
高分子の濃厚な液相と希薄な液相に分離することをコアセルベーションと呼ぶ。
親水性の高分子コロイドにアルコール等の水溶性有機溶媒を添加すると、高分子コロイドの水和水が引き抜かれ、高分子粒子同士が凝集して沈殿する。これはコアセルベーションの1種である。
他、コアセルベーションを起こす手法として、高分子の均一溶液の温度を徐々に下げる、高分子の貧溶媒(相性の悪い溶媒)を加え続ける、塩を添加して塩析を起こすことなどが挙げられる。

 

 

◆ bについて
b × コロイド溶液に光をあてると、コロイド粒子が光を散乱するブラウン運動が起こる。
→ 〇 コロイド溶液に光をあてると、コロイド粒子が光を散乱するチンダル現象が起こる。

 

コロイド溶液に横から光を当てると、コロイド粒子が光を散乱することにより、光の道が見える。
これをチンダル現象と呼ぶ。

 

 

◆ cについて
c × コロイド粒子は分散媒分子の衝突を受けて、不規則な運動をするチンダル現象を示す。
→ 〇 コロイド粒子は分散媒分子の衝突を受けて、不規則な運動をするブラウン運動を示す。

 

分散媒分子(溶媒分子)が熱運動をすることによりコロイド粒子に衝突し、コロイド粒子が不規則な運動をすることをブラウン運動と呼ぶ。
コロイド粒子はブラウン運動をするので沈降しない。
ブラウン運動が激しくなると、コロイド粒子は不安定になる。

 

 

◆ dについて
d 〇 分散粒子が荷電していると、対イオンが分散粒子のまわりに引き寄せられ、粒子と分散媒の界面近傍で電気二重層を形成する。

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