コロイド溶液に関する記述 93回薬剤師国家試験問20
93回薬剤師国家試験 問20
コロイド溶液に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a 多量の電解質の添加により、親水コロイド粒子が凝析する現象を塩析という。
b チンダル現象は、コロイド溶液では観測されるが、低分子物質溶液では観測されない。
c 疎水コロイドは、その表面が親水性で水和層が形成されて安定化している。
d エマルション (乳濁液) では、液体の分散媒中に固体物質が微細な粒子として分散している。
93回薬剤師国家試験 問20 解答解説
◆ aについて
a 〇 多量の電解質の添加により、親水コロイド粒子が凝析する現象を塩析という。
親水コロイドに多量の電解質を添加すると、
親水コロイド表面において、水和層の脱水と電荷の中和が起こり、親水コロイド粒子同士が凝集し、析出して白濁(凝析)する。
これを塩析と呼ぶ。
また、親水コロイドに対して、少量の電解質とアルコール等の脱水剤を併用で添加することでも、親水コロイド粒子同士が凝集して沈殿するが、これは塩析とはよばない。
◆ bについて
b 〇 チンダル現象は、コロイド溶液では観測されるが、低分子物質溶液では観測されない。
粒子径が1nm〜1μmの粒子をコロイド粒子と呼び、
溶質がコロイド粒子である溶液をコロイド溶液と呼ぶ。
コロイド溶液に横から光を当てると、コロイド粒子が光を散乱することにより、光の道が見える。
これをチンダル現象と呼ぶ。
チンダル現象は一般的な低分子物質溶液では観測されない。
◆ cについて
c × 疎水コロイドは、その表面が親水性で水和層が形成されて安定化している。
表面が親水性で水和層が形成されて安定化しているのは親水コロイドである。
疎水コロイドの表面に水和層は形成されない。
◆ dについて
d × エマルション (乳濁液) では、液体の分散媒中に固体物質が微細な粒子として分散している。
液体の分散媒中に固体物質が微細な粒子として分散しているのは懸濁剤(サスペンション)である。
エマルション (乳濁液)では、液体の分散媒中に液体物質が微細な粒子として分散している。