0.10mol/L酢酸ナトリウム水溶液のpH 94回薬剤師国家試験問17
第94回薬剤師国家試験 問17
0.10mol/L酢酸ナトリウム水溶液のpHは次のどれか。
log2 = 0.30、log3 = 0.48とする。
1 7.3
2 7.8
3 8.3
4 8.8
5 9.3
6 9.8
第94回薬剤師国家試験 問17 解答解説
正解は4の8.8である。
本問は、弱酸と強塩基の塩の溶液ののpHの計算である。
酸塩基平衡のpHの計算では、計算の基となる酸または塩基を見つけることが重要である。
弱酸のナトリウム塩であるCH3COONaは強電解質であり、水中ではほとんど電離している。
CH3COONa → CH3COO:− + Na+
酢酸イオンCH3COO:−は水中で弱い塩基として働く。
本問の溶液は、弱塩基であるCH3COO:−が計算の基となる。
塩基となる物質(B:)は非共有電子対を供与してプロトン(H+)を受け取って陽イオン形(BH+)となり、BH+はプロトンを放出してB:に戻る。BH+を塩基(B:)の共役酸と呼ぶ。
上記の酸塩基平衡の平衡定数をB:の塩基解離定数Kbと呼び、
次式で表される。
上記の塩基解離定数(Kb)の式を改変することにより、
弱塩基Bの水溶液の水酸化物イオン濃度について次式が成り立つ。
なお、Cをその弱塩基Bの濃度とする。
この式は重要なので必ず覚える。
酸のKaとその共役塩基のKbと水のイオン積Kw,または,
塩基のKbとその共役酸のKaと水のイオン積Kwについて、次式が成り立つ。
Ka×Kb = Kw …@
また、
pKa=−logKa,pKb=−logKb,
pKw=−logKw より、次式が成り立つ。
pKa+pKb = pKw …A
CH3COO−を塩基とすると、その共役酸はCH3COOHである。
よって、次式が成り立つ。
(CH3COOHのKa)×(CH3COO−のKb) = Kw …B
(CH3COOHのpKa)+(CH3COO−のpKb) = pKw …C
Bの式にこれらの値を代入すると、
(CH3COOHのKa)×(CH3COO−のKb) = Kw
弱酸と強塩基の塩であるCH3COONaは水中ではほとんど電離している。
CH3COONa → CH3COO:− + Na+
よって、CH3COONaの濃度=CH3COO−の濃度 とみなせるので、
CH3COO−の濃度は0.10 mol/Lと考えられる。
以上より、本問の水溶液の水酸化物イオン濃度は次のように計算できる。
一定条件下において、水素イオン濃度と水酸化物イオン濃度と水のイオン積Kwについて次式が成り立つ。
[H+]×[OH−] = Kw …D
また、
pH=−log[H+],pOH=−log[OH−],
pKw=−logKw より、次式が成り立つ。
pH+pOH = pKw …E
したがって、
pH=−log[H+]
★参考外部サイトリンク
酸・塩基の定義(猫でもわかる有機化学さん)