アロマターゼを阻害する薬 111回薬剤師国家試験問40の解説
111回薬剤師国家試験 問40
アロマターゼを阻害することで、エストロゲン生合成を抑制する乳がん治療薬はどれか。1つ選びなさい。
1 フルベストラント
2 アナストロゾール
3 タモキシフェン
4 ゴセレリン
5 ラパチニブ
111回薬剤師国家試験 問40
アロマターゼを阻害することで、
エストロゲン生合成を抑制する乳がん治療薬は、
選択肢2のアナストロゾールです。

アロマターゼは、アンドロゲンからエストロゲンを合成する酵素です。
アナストロゾールはアロマターゼ阻害薬であり、
アロマターゼを阻害することで エストロゲンの生合成を抑制します。
主に閉経後乳がんに用いられます。
アロマターゼ阻害薬の作用と閉経後乳がんに使われる理由について、
下の記事で解説しています。参照にしてみてください。
・アロマターゼ阻害薬はなぜ閉経後乳がんに使われるのか?
以下では他の選択肢について解説します。
1 フルベストラント
フルベストラントは、エストロゲン受容体に結合し、受容体の分解を促進します。
その結果、乳がん細胞がエストロゲンの刺激を受けにくくなります。
3 タモキシフェン
タモキシフェンは、乳腺ではエストロゲン受容体に結合して遮断することにより、
エストロゲンの作用を妨げます。
そのため、エストロゲン依存性に増殖する乳がん細胞の増殖を抑えます。
注意点として、タモキシフェンは組織によって作用が異なります。
乳腺では抗エストロゲン作用を示しますが、
子宮内膜などではエストロゲン様作用を示すことがあります。
4 ゴセレリン
ゴセレリンはLH-RHアゴニストであり、
視床下部−下垂体−卵巣系を抑える薬です。
LH-RHとは、黄体形成ホルモン放出ホルモンのことです。
LH-RHは、脳の視床下部から分泌され、脳下垂体に作用します。
すると下垂体から黄体ホルモン LHと卵胞刺激ホルモンFHSが分泌されます。
ゴセレリンは、下垂体のLH-RH受容体を持続的に刺激します。
最初はLH・FSH分泌が増えますが、
持続刺激により受容体がダウンレギュレーションされ、
最終的にはLH・FSH分泌が低下します。
その結果、卵巣への刺激が減り、卵巣からのエストロゲン産生が抑制されます。
ゴセレリンは閉経前乳がんで重要な薬です。
閉経前では卵巣がエストロゲン産生の中心なので、
ゴセレリンで卵巣機能を抑えることで、薬理学的に閉経後に近い状態を作ります。
5 ラパチニブ
ラパチニブはHER2およびEGFRのチロシンキナーゼ阻害薬です。
HER2とはヒト上皮成長因子受容体2であり、
EGFRファミリーに属する膜貫通型のチロシンキナーゼ受容体です。
ラパチニブは、
HER2やEGFRという増殖シグナルに関わる受容体型チロシンキナーゼを阻害し、
がん細胞の増殖シグナルを抑えます。