薬剤師国家試験過去問題集 製剤化・製剤機械

錠剤の製造に関する記述の正誤 86回薬剤師国家試験問175

86回薬剤師国家試験 問175
錠剤の製造に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 乾式顆粒圧縮法(スラッグ法)は、主成分が水分や熱に不安定な場合に利用される。
b 半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は滑沢剤を加えないで製錠できるため、得られた錠剤の崩壊性は非常によい。
c 打錠障害であるラミネーションは、医薬品混合物中に微粒子が多く含まれたり、結合剤が不足すると起きやすい。
d 錠剤のフィルムコーティングはコーティングパンや流動層コーティング装置を用いて行うが、コーティング基剤は必ず有機溶媒に溶解させて用いるため残留溶媒を一定量以下にする必要がある。

トップページへ

 

薬剤師国家試験過去問題 科目別まとめ一覧 へ

 

薬剤師国家試験過去問題 製剤化・製剤機械 一覧へ

 

 

86回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 乾式顆粒圧縮法(スラッグ法)は、主成分が水分や熱に不安定な場合に利用される。

 

乾式顆粒圧縮法(スラッグ法)は、打錠用の顆粒を乾式で作ることが特徴であり、
結合剤を溶液または懸濁液としてではなく粉末のまま添加し、そのことから乾燥させる工程がない。
よって、乾式顆粒圧縮法は主薬が水分や熱に不安定な場合でも利用可能である。

 

また、直打法とセミ直打法も主薬が水分や熱に不安定な場合でも利用可能である。

 

関連問題
スラッギングとは 96回問173a

 

 

◆ bについて
b × 半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は滑沢剤を加えないで製錠できるため、得られた錠剤の崩壊性は非常によい。

 

半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)を含め、
打錠する錠剤の製法は、いずれも打錠の直前に滑沢剤を入れて混合する工程がある。
打錠直前に滑沢剤を入れることにより、打錠機の臼に原料粉末を入れる際の流動性や充填性の改善、または、原料粉末と臼・杵との間に生じる摩擦軽減が図れる。

 

なお、半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は、
有効成分を含まない添加剤のみから成る顆粒(予製顆粒)を作り、
それを有効成分の粉末と混合し、打錠して錠剤とする。
半乾式顆粒圧縮法(セミ直打法)は、顆粒圧縮法と直打法の欠点を補った製法であり、主薬が水や熱に不安定で、かつ、主薬粉末の成形性,結合性,流動性に問題のある場合にも適する。

 

関連問題
直接打錠法と滑沢剤 102回問176の4

 

 

◆ cについて
c 〇 打錠障害であるラミネーションは、医薬品混合物中に微粒子が多く含まれたり、結合剤が不足すると起きやすい。

 

詳細は下記のリンク先を参照
ラミネーション・キャッピングの原因 96回問173c

 

 

◆ dについて
d × 錠剤のフィルムコーティングはコーティングパンや流動層コーティング装置を用いて行うが、コーティング基剤は必ず有機溶媒に溶解させて用いるため残留溶媒を一定量以下にする必要がある。

 

コーティング基剤の溶媒には水を使用することがあり、
必ずしも有機溶媒を使用するわけではない。

トップへ戻る