固形製剤の製造工程と製剤機械 102回薬剤師国家試験問176
102回薬剤師国家試験 問176
固形製剤の製造工程と製剤機械に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 流動層造粒装置は、混合、造粒、乾燥を1つの装置内で行うことができる。
2 V型混合機は、容器固定型混合機に分類される。
3 糖衣は、フィルムコーティングに比べ、短時間でのコーティング処理が可能である。
4 直接打錠法では、原料粉末をそのまま打錠機で圧縮成形するため、滑沢剤の添加を必要としない。
5 ハンマーミルは、粉砕時に熱が発生するため、熱に弱い医薬品の粉砕には適さない。
102回薬剤師国家試験 問176 解答解説
◆ 1について
1 〇 流動層造粒装置は、混合、造粒、乾燥を1つの装置内で行うことができる。
流動層造粒機は混合,造粒,乾燥を同一装置内で行える機械である。
関連問題
空気で吹き上げた原料粉体に結合液を噴霧して造粒する方法 97回問52
◆ 2について
2 × V型混合機は、容器固定型混合機に分類される。
→ 〇 V型混合機は、容器回転型混合機に分類される。
混合機には大きく分けて2つのタイプがある。
1つは混合容器自体が回転することにより、粉粒体の集合と分割を交互に繰り返して混合する容器回転型混合機である。
容器回転型混合機としてV型混合機や二重円錐型混合機がある。
もう1つはリボンやスクリューなどの攪拌器具が容器内部に備え付けられている容器固定型混合機である。
容器固定型混合機としてリボン型混合機やスクリュー型混合機がある。
関連問題
旋回スクリュー型混合機は容器固定型混合機 106回問182の2
◆ 3について
3 × 糖衣は、フィルムコーティングに比べ、短時間でのコーティング処理が可能である。
糖衣(シュガーコーティング)は、フィルムコーティングに比べて工程数が多く、コーティングに要する時間は長い。
詳細は下記のリンク先を参照
シュガーコーティングとフィルムコーティング 96回問176ab
◆ 4について
4 × 直接打錠法では、原料粉末をそのまま打錠機で圧縮成形するため、滑沢剤の添加を必要としない。
滑沢剤は、適量を添加することにより、粉体の流動性を改善し、
打錠の際の臼や杵に対する原料の付着防止・摩擦軽減、充填性の改善などをもたらし、打錠障害を防ぐ。
よって、直接打錠法でも顆粒圧縮法でも、
打錠して圧縮成形する方法は、
打錠する直前に滑沢剤を添加する必要がある。
なお、顆粒圧縮法は、間接圧縮法と呼ばれ、原料粉末を造粒して打錠用の顆粒を製し、それを打錠して圧縮成形する方法であり、
直接打錠法は原料粉末をそのまま打錠機で圧縮成形する方法である。
◆ 5について
5 〇 ハンマーミルは、粉砕時に熱が発生するため、熱に弱い医薬品の粉砕には適さない。
ハンマーミルはハンマーによる衝撃で粉砕する粉砕機であるが、
粉砕時に熱が発生し、長時間運転すると高温になるため、
熱に不安定な医薬品や低融点の化合物の粉砕には適さない。
★ 他サイトさんの解説リンク
102回問176(e-RECさん)