薬剤師国家試験過去問題集 製剤化・製剤機械

製剤機器及び工程に関する記述 89回薬剤師国家試験問170

89回薬剤師国家試験 問170
製剤機器及び工程に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

a ジェットミルは、凍結粉砕法に用いる製剤機器であり、生薬の粉砕などに用いられる。
b 押出し造粒法は、得られる造粒物の球形度が低いため、顆粒剤の製造には用いない。
c 湿式顆粒圧縮法では、あらかじめ圧縮性に優れた顆粒を調製できるため、滑沢剤を添加する必要がない。
d 凍結乾燥法は、昇華現象を利用した乾燥法であり、用時溶解して用いる注射剤の製造などに用いられる。

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89回薬剤師国家試験 問170 解答解説

 

◆ aについて
a × ジェットミルは、凍結粉砕法に用いる製剤機器であり、生薬の粉砕などに用いられる。

 

ジェットミルは凍結粉砕法に用いられない。
ジェットミルは、噴出する圧縮空気の気流により粒子を加速させて、粒子どうしあるいは粒子と容器壁との衝突により粒子を微細化する粉砕機である。
ジェットミルは、圧縮空気の膨張に伴い吸熱が起こり(ジュール・トムソン効果)、粉砕時の温度上昇が抑えられるので、熱に不安定な薬物や低融点化合物の粉砕にも用いられる。

 

 

◆ bについて
b × 押出し造粒法は、得られる造粒物の球形度が低いため、顆粒剤の製造には用いない。

 

押し出し造粒法は、得られる造粒物が円柱状であり球形度は低いが、
顆粒剤の製造に用いられる。

 

関連問題
押し出し造粒法の原理と特徴 98回問177の5

 

 

◆ cについて
c × 湿式顆粒圧縮法では、あらかじめ圧縮性に優れた顆粒を調製できるため、滑沢剤を添加する必要がない。

 

滑沢剤は、適量を添加することにより、粉体の流動性を改善し、
打錠の際の臼や杵に対する原料の付着防止・摩擦軽減、充填性の改善などをもたらし、打錠障害を防ぐ。
よって、顆粒圧縮法でも直接打錠法でも、
打錠して圧縮成形する方法は、
打錠する直前に滑沢剤を添加する必要がある。

 

なお、顆粒圧縮法は、間接圧縮法と呼ばれ、原料粉末を造粒して打錠用の顆粒を製し、それを打錠して圧縮成形する方法であり、
直接打錠法は原料粉末をそのまま打錠機で圧縮成形する方法である。

 

関連問題
直接打錠法と滑沢剤 102回問176の4

 

 

◆ dについて
d 〇 凍結乾燥法は、昇華現象を利用した乾燥法であり、用時溶解して用いる注射剤の製造などに用いられる。

 

凍結乾燥とは、薬物溶液を共晶点より低い温度で凍結し、
凍結状態のまま高真空下で溶媒を昇華させて乾燥させる方法であり、
用時溶解して用いる注射剤の製造などに用いられる。
凍結乾燥は熱に対して不安定な物質の保存法として用いられ、
バイオ医薬品でも性質や機能を維持したまま保存できる。

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