蛍光の極大波長と励起光の極大波長 ストークスの法則 88回問32d
88回薬剤師国家試験 問32d
下記の蛍光光度法に関する記述の正誤を判定してみよう。
d 一般に、蛍光の極大波長は励起光の極大波長より短波長側にある。
88回薬剤師国家試験 問32d
d × 一般に、蛍光の極大波長は励起光の極大波長より短波長側にある。
→ 〇 一般に、蛍光の極大波長は励起光の極大波長より長波長側にある。
励起スペクトルは、蛍光分光光度計の蛍光波長を適当な波長に固定しておき、励起光の波長を変化させて試料溶液の蛍光強度を測定することによって得られる。
一方、蛍光スペクトルは、励起波長を固定して,蛍光の波長を変化させて蛍光強度を測定することによって得られる。
下図はフルオレセインナトリウム水溶液の励起スペクトル及び蛍光スペクトルである。
点線が励起スペクトルであり、
実線が蛍光スペクトルである。
通常、蛍光スペクトルの極大波長は励起スペクトルの極大波長よりも長波長側(低エネルギー側)にある。
これをストークスの法則と呼び、その波長差をストークスシフトと呼ぶ。
同様に、蛍光スペクトルの極大波長は吸収スペクトルの極大波長よりも長波長側にある。
その理由は、励起状態から基底状態に戻る際、吸収した励起光エネルギーの全てが蛍光を放射することで放出されるのではなく、発熱など発光以外のことでもエネルギーを放出するからである。