Michaelis-Menten式に従う輸送の速度と薬物濃度 94回薬剤師国家試験問151の5
94回薬剤師国家試験 問151の5
薬物の生体膜透過機構に関する記述の正誤を判定してみよう。
5 Michaelis-Menten式に従う輸送において、薬物濃度がMichaelis定数(Km)に比べて著しく大きな値のときは、輸送速度は薬物濃度に比例する。
94回薬剤師国家試験 問151の5 解答解説
5 × Michaelis-Menten式に従う輸送において、薬物濃度が Michaelis定数(Km)に比べて著しく大きな値のときは、輸送速度は薬物濃度に比例する。
Michaelis-Menten式に従う輸送において、薬物濃度が Michaelis定数(Km)に比べて著しく小さな値のときは、輸送速度は薬物濃度に比例する。
Michaelis-Menten式に従う輸送において、薬物濃度が Michaelis定数(Km)に比べて著しく大きな値のときは、輸送速度は薬物濃度に関わらず最大値(Vmax)で一定となる。
担体介在輸送による物質の輸送速度(v)は、以下のミカエリス・メンテン式で表される。
ミカエリス定数(Km)は、輸送速度が最大速度の半分(Vmax/2)となる時の物質濃度に等しい。
よって、
Kmが小さいほど、物質の担体に対する親和性は高く、
Kmが大きいほど、物質の担体に対する親和性は低いと考えられる。
物質濃度がミカエリス定数に比べて極めて低い場合(C<<Km)、
Km + C ≒ Km と近似できるので、@式は下記のA式に近似できる。
A式より、
物質濃度がミカエリス定数に比べて極めて低い場合(C<<Km)、
担体輸送速度は物質濃度に比例すると考えられる。
物質濃度がミカエリス定数に比べて極めて高い場合(C>>Km)、
Km + C ≒ C と近似できるので、@式は下記のB式に近似できる。
v ≒ Vmax …B
B式より、
物質濃度がミカエリス定数に比べて極めて高い場合(C>>Km)、
担体輸送速度は物質濃度によらず最大速度(Vmax)で一定になると考えられる。
これは、担体介在輸送では、物質濃度が高くなると、飽和状態になることを表す。