トランスポーターを介するが、ATPの加水分解で産生されるエネルギーを必要としない輸送 97回薬剤師国家試験問42
97回薬剤師国家試験 問42
薬物の生体膜透過機構のうち、トランスポーターを介するが、ATPの加水分解で産生されるエネルギーを必要としないのはどれか。1つ選びなさい。
1 単純拡散
2 促進拡散
3 一次性能動輸送
4 二次性能動輸送
5 膜動輸送
97回薬剤師国家試験 問42 解答解説
薬物の生体膜透過機構のうち、トランスポーターを介するが、ATPの加水分解で産生されるエネルギーを必要としないのは、2の促進拡散である。
促進拡散とは、トランスポーターを介するが、濃度差または電位差があるときに生じる電気化学ポテンシャル差を駆動力とし、
物質を濃度の高い方から低い方へと輸送する受動輸送である。
促進拡散は、担体介在輸送であるが、ATPの加水分解エネルギーを直接的にも間接的にも利用しない。
1の単純拡散は、トランスポーターを介さず、濃度差または電位差があるときに生じる電気化学ポテンシャル差を駆動力とし、
物質を濃度の高い方から低い方へと輸送する受動輸送である。
3の一次性能動輸送は、トランスポーターを介し、ATPの加水分解で産生されるエネルギーを直接的に利用し、
濃度勾配または電気化学ポテンシャル勾配に逆らい、物質を濃度の低い方から高い方へと輸送する能動輸送である。
4の二次性能動輸送は、トランスポーターを介し、一次性能動輸送によって生じたイオンの勾配に由来する電気化学ポテンシャル勾配や電位差を駆動力とし、物質を濃度の低い方から高い方へと輸送する能動輸送である。
よって、二次性能動輸送はATPの加水分解エネルギーを間接的に利用する担体介在輸送といえる。
5の膜動輸送は、サイトーシスと呼ばれ、細胞膜が変形することにより、
物質が細胞内または細胞外へと輸送されることを指す。
膜動輸送にはエネルギーが必要と考えられている。
関連問題
促進拡散型トランスポーターの駆動力 103回問166の1
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