単純拡散による透過性とpKaの関係 89回薬剤師国家試験問149b

89回薬剤師国家試験 問149b
単純拡散により生体膜を透過する薬物に関する記述の正誤を判定してみよう。

 

b 非イオン形分子の脂溶性が同じ程度であれば、酸性薬物ではpKaが小さいほど、また塩基性薬物ではpKaが大きいほど、それぞれ小腸から吸収されやすい。

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89回薬剤師国家試験 問149b 解答解説

 

b × 非イオン形分子の脂溶性が同じ程度であれば、酸性薬物ではpKaが小さいほど、また塩基性薬物ではpKaが大きいほど、それぞれ小腸から吸収されやすい。
→ 〇 非イオン形分子の脂溶性が同じ程度であれば、酸性薬物ではpKaが大きいほど、また塩基性薬物ではpKaが小さいほど、それぞれ小腸から吸収されやすい。

 

物質の単純拡散における細胞膜透過について、pH分配仮説という理論がある。
この仮説は、脂溶性の高い分子形(非イオン形)は細胞膜を透過し、水溶性の高いイオン形は細胞膜を透過しないとし、物質のプロトンの解離・保持による脂溶性の変化が膜透過に大きな影響を与えるという考えである。

 

単純拡散による生体膜透過はpH分配仮説に従うとすると、
物質のpKaと透過性の関係は以下の通り。

 

酸性薬物ではpKaが大きいほど、分子形分率が大きくなるので、
単純拡散により透過しやすいと考えられる。

 

塩基性薬物ではpKaが小さいほど、分子形分率が大きくなるので、
単純拡散により透過しやすいと考えられる。

 

以下、詳細

 

◆ 弱酸性薬物の場合

 

弱酸性薬物は、水溶液中で以下の平衡状態にある。

 

単純拡散 pH分配仮説に従う透過とpKaの関係 薬学89回問149b

 

上式より、弱酸性薬物は、溶液のpHが一定の場合、
HAのpKaが大きいほど、分子形分率は大きくなると考えられる。

 

よって、弱酸性薬物の単純拡散による膜透過について、
分子形(非イオン形)の脂溶性が同じ程度であれば、HAのpKaが大きいほど、分子形分率が大きくなるので、透過しやすいと考えられる。

 

 

◆ 弱塩基性薬物の場合

 

弱塩基性薬物は、水溶液中で以下の平衡状態にある。

 

単純拡散 pH分配仮説に従う透過とpKaの関係 薬学89回問149b

 

上式より、弱塩基性薬物は、溶液のpHが一定の場合、
BH+のpKaが小さいほど、分子形分率が大きくなると考えられる。

 

よって、弱塩基性薬物の単純拡散による膜透過について、
分子形(非イオン形)の脂溶性が同じ程度であれば、BH+のpKaが小さいほど、分子形分率が大きくなるので、透過しやすいと考えられる。

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