単純拡散による薬物の生体膜透過 97回薬剤師国家試験問167
97回薬剤師国家試験 問167
単純拡散による薬物の生体膜透過に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選びなさい。
1 イオン形薬物は、非イオン形薬物と比べて透過性が高い。
2 脂溶性薬物は、水溶性薬物と比べて透過性が高い。
3 高分子薬物は、低分子薬物と比べて透過性が高い。
4 透過速度はMichaelis-Menten 式で表される。
5 構造類似薬物の共存により、透過速度が低下する。
97回薬剤師国家試験 問167 解答解説
単純拡散による薬物の生体膜透過に関する記述のうち、正しいのは、
2の「脂溶性薬物は、水溶性薬物と比べて透過性が高い」である。
◆ 1,2について
1 × イオン形薬物は、非イオン形薬物と比べて透過性が高い。
→ 〇 イオン形薬物は、非イオン形薬物と比べて透過性が低い。
2 〇 脂溶性薬物は、水溶性薬物と比べて透過性が高い。
生体膜は脂質二重層であるので、
脂溶性の高い物質は単純拡散による膜透過性が高く、
水溶性の高い物質は単純拡散による膜透過性が低い。
非イオン形薬物(分子形薬物)は、イオン形薬物に比べて脂溶性が高いので、
非イオン形薬物(分子形薬物)は、イオン形薬物と比べて単純拡散による膜透過性が高い。
その他、水素結合能の高い官能基が存在すると、
単純拡散による膜透過性が低くなると考えられている。
◆ 3について
3 × 高分子薬物は、低分子薬物と比べて透過性が高い。
→ 〇 高分子薬物は、低分子薬物と比べて透過性が低い。
分子量の小さい物質は、分子量の大きい物質に比べて単純拡散による膜透過性が高い。
◆ 4について
4 × 透過速度はMichaelis-Menten 式で表される。
→ 〇 透過速度はFickの拡散速度式で表される。
単純拡散の透過速度は、Fickの拡散速度式で表される。
トランスポーターを介した輸送の透過速度は、Michaelis-Menten式で表される。
◆ 5について
5 × 構造類似薬物の共存により、単純拡散による透過速度が低下する。
単純拡散では、構造類似薬物の共存により、透過速度が変化することはない。
トランスポーターを介した輸送(促進拡散・能動輸送)では、構造類似薬物の共存により、透過速度が低下することがある。
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97回問167(e-RECさん)