単純拡散の透過速度とFickの法則 94回薬剤師国家試験問151の1,2
94回薬剤師国家試験 問151の1,2
薬物の生体膜透過機構に関する記述の正誤を判定してみよう。
1 単純拡散は、Fickの法則に従い、その透過速度は濃度勾配に反比例する。
2 Fickの法則において、透過速度は膜の厚さに反比例する。
94回薬剤師国家試験 問151の1,2 解答解説
1 × 単純拡散は、Fickの法則に従い、その透過速度は濃度勾配に反比例する。
→ 〇 単純拡散は、Fickの法則に従い、その透過速度は濃度勾配に比例する。
2 〇 Fickの法則において、透過速度は膜の厚さに反比例する。
単純拡散による膜透過速度について、下図を用いて説明する。
薬物が単純拡散により生体膜を透過し、Fickの第1法則に従うとすると、
透過速度(溶質分子が単位時間に透過する物質量:J )は、以下の拡散速度式に従う。
@,A式より、Fickの第1法則に従う溶質の膜透過について、
透過速度(J)と比例するものと反比例するものは下記の通り。
◆ 透過速度(J)と比例するもの
・溶質のドナー溶液とレセプター溶液の濃度勾配(C in−C out)
・溶質の膜中での濃度勾配(C1−C2)
・溶質の膜中での拡散係数(D)
・溶質の分配係数(K:C1/C in)
・膜の有効表面積(A)
◆ 透過速度(J)と比例するもの
・4の膜の厚さ(L)