濃度0.01 mol/kg の水溶液にしたとき凝固点降下度が最も大きいのはどれか 105回薬剤師国家試験問48

105回薬剤師国家試験 問48
濃度0.01 mol/kg の水溶液にしたとき、凝固点降下度が最も大きいのはどれか。1つ選びなさい。
1 D-グルコース
2 L-アスコルビン酸ナトリウム
3 L-ロイシン
4 塩化カルシウム
5 塩化ナトリウム

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105回薬剤師国家試験 問48 解答解説

 

正解は4の塩化カルシウム(CaCl2)である。

 

凝固点降下度(儺f)は次式で表される。
f = i・Kf・mB
i:ファントホッフ係数 Kf:モル凝固点降下定数
mB:質量モル濃度

 

モル凝固点降下定数(Kf)は溶媒に固有の値であり、
本問の選択肢はどれも水溶液なので水のKfとなる。

 

ファントホッフ係数(i)とは、
溶質の解離や会合による粒子数の増減を考慮するための係数である。

 

・解離により粒子数が増える場合のファントホッフ係数
電離度をα,1分子が解離して生成するイオンの数をnとすると、
ファントホッフ係数について次式が成り立つ。
i = 1−α + nα = 1 +α (n−1)

 

・会合により粒子数が減少する場合のファントホッフ係数
平均分子会合度をPとすると、
ファントホッフ係数について次式が成り立つ。
i = 1/P

 

本問は、同じ質量モル濃度(0.01 mol/kg)の水溶液同士の比較なので、
ファントホッフ係数iの最も大きい溶液が凝固点降下度が最も大きい溶液となる。

 

選択肢のD-グルコースとL-ロイシンは水溶液中で解離または会合しないと考えられるので、
これらのファントホッフ係数は1である。

 

L-アスコルビン酸ナトリウムは、水溶液中でNa+とL-アスコルビン酸に完全解離すると考えられ(電離度α=1)、1分子が解離して生成するイオンの数(n)は2である。
よって、L-アスコルビン酸ナトリウム溶液のファントホッフ係数は、
i = 1 +α (n−1) = 1 +1 (2−1) = 2 である。

 

塩化カルシウムは、水溶液中で下記のように完全解離すると考えられる(電離度α=1)。
CaCl2 = Ca2+ + 2Cl
これより、CaCl2 1分子が解離して生成するイオンの数(n)は3である。
したがって、塩化カルシウム溶液のファントホッフ係数は、
i = 1 +α (n−1) = 1 +1 (3−1) = 3 である。

 

Na+とL-アスコルビン酸に完全解離すると考えられ(電離度α=1)、1分子が解離して生成するイオンの数(n)は2である。
よって、L-アスコルビン酸ナトリウム溶液のファントホッフ係数は、
i = 1 +α (n−1) = 1 +1 (2−1) = 2 である。

 

NaClは水溶液中でNa+とCl−に完全解離すると考えられ(電離度α=1)、1分子が解離して生成するイオンの数(n)は2である。
よって、NaCl溶液のファントホッフ係数は、
i = 1 +α (n−1) = 1 +1 (2−1) = 2 である。

 

以上より、塩化カルシウム(CaCl2)の水溶液のファントホッフ係数が最も大きいので、凝固点降下度が最も大きいのは塩化カルシウム(CaCl2)の水溶液である。

 

 

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