血清サンプル中のカリウム値の測定法 104回薬剤師国家試験問199改題

104回薬剤師国家試験 問199改題
スピロノラクトンによる薬物治療を始めた患者において、
後日の血液検査で血清カリウム値が5.0mEq/L に上昇していた。

 

薬剤師は血清カリウム値が上昇した理由について、
スピロノラクトンの投与以外に、今回用いた血清カリウム値の測定法(ピルビン酸キナーゼを用いる酵素法)におけるナトリウムの影響も疑った。そこで、他の測定法についても検討した。
血清サンプル中のカリウム値の他の測定法として適しているのはどれか。2つ選びなさい。

 

1 EDTAを用いるキレート滴定法
2 イオン選択電極法
3 フレーム(炎光)分析法
4 ELISA法
5 ヨウ素を用いる酸化還元滴定法

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104回薬剤師国家試験 問199改題 解答解説

 

血清カリウム値の測定に用いられるのは、
2のイオン選択電極法と
3のフレーム(炎光)分析法である。

 

イオン選択電極法とはイオンセンサーによる測定である。
イオンセンサーは化学センサーの1種であり、特定のイオンに応答する感応膜を持つイオン選択性電極を備えており、試料中のイオン濃度に応じてイオン選択性電極の電極電位は変化するようになっており、電位が常に一定である参照電極との間で生じる電位差からイオン濃度を測定する。
カリウムイオンに対する感応膜のイオンセンサーを用いれば血清カリウム値を測定できる。

 

フレーム(炎光)分析法とは、
フレーム方式で試料の原子化を行う原子吸光光度法のことである。
原子吸光光度法は金属(アルカリ金属・アルカリ土類金属・遷移金属)の定量に用いられる。
測定対象金属に応じて原子化の方法が選択されるが、
カリウムはフレーム方式で測定可能である。

 

原子吸光光度法の原子化については下記のリンク先を参照
原子吸光光度法の試料原子化法 94回問33の3

 

 

他の選択肢について、
1のEDTAを用いるキレート滴定法は金属の定量に用いられるが、
対象はEDTAと安定なキレートを形成する2価以上の金属イオンであり、
アルカリ金属や銀は対象外である。
4のELISA法と5のヨウ素を用いる酸化還元滴定法は金属の定量には用いられない。

 

 

★ 他サイトさんの解説リンク
104回問198,199(e-RECさん)

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