93回薬剤師国家試験問33 電磁波を利用する分析法に関する記述

93回薬剤師国家試験 問33
電磁波を利用する分析法に関する記述のうち、正しいものはどれか。

 

a 核磁気共鳴スペクトル測定法では、紫外線領域の電磁波を利用している。
b 原子吸光光度法では、基底状態の金属イオンが光を吸収する現象を利用している。
c 赤外吸収スペクトル測定法では、分子振動に関する情報が得られる。
d 円二色性測定法では、分子の不斉性に関する情報が得られる。
e 屈折率測定法では、通例、ナトリウムスペクトルのD線を光線として用いる。

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93回薬剤師国家試験 問33 解答解説
◆ aについて
a × 核磁気共鳴スペクトル測定法では、紫外線領域の電磁波を利用している。
→ 〇 核磁気共鳴スペクトル測定法では、ラジオ波領域の電磁波を利用している。

 

核スピンを持つ原子核(核スピン量子数I≠0)を外部磁場におくと、
ゼーマン分裂という現象が起こる。
その時、原子核にラジオ波領域の電磁波のパルスを照射すると、
ラジオ波のエネルギーを吸収して励起する。
これを核磁気共鳴現象(nuclear magnetic resonance:NMR)と呼ぶ。

 

各分析法と用いる電磁波の波長については
下記のリンク先を参照
電磁波の波長・波数と対応する分析法 91回問25

 

 

◆ bについて
b × 原子吸光光度法では、基底状態の金属イオンが光を吸収する現象を利用している。
→ 〇 原子吸光光度法では、基底状態の金属原子が光を吸収する現象を利用している。

 

原子吸光光度法では、最外殻電子について基底状態の金属原子が励起状態に電子遷移するのに伴い光を吸収する現象を利用している。
イオン化した金属は原子吸光光度法で観測するための原子スペクトルを得られない。
測定対象元素がイオン化してしまうことで、中性原子の生成量が抑制される干渉をイオン化干渉と呼ぶ。

 

原子吸光光度法については下記のリンク先を参照
原子吸光光度法の原理,干渉 94回問33

 

 

◆ cについて
c 〇 赤外吸収スペクトル測定法では、分子振動に関する情報が得られる。

 

詳細は下記のリンク先を参照
赤外吸収スペクトルと分子振動 93回問33c

 

 

◆ dについて
d 〇 円二色性測定法では、分子の不斉性に関する情報が得られる。

 

下記のリンク先を参照
円二色性(CD)スペクトルから得られる構造情報 96回問17d

 

 

◆ eについて
e 〇 屈折率測定法では、通例、ナトリウムスペクトルのD線を光線として用いる。

 

屈折率測定法 85回問17d

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