シクロヘキサンの最安定立体配座は、いす形配座 92回薬剤師国家試験問3c
92回薬剤師国家試験 問3c
cyclohexaneに関する記述の正誤を判定してみよう。
c cyclohexaneの最安定立体配座は、いす形配座である。
92回薬剤師国家試験 問3c 解答解説
cyclohexane及びその誘導体に関する記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
c ○ cyclohexaneの最安定立体配座は、いす形配座である。
シクロヘキサンの平面形配座は、環炭素の結合角が120°であり、原子価角の109.5°からずれているため、比較的に大きな結合角ひずみが生じる。
結合角ひずみを解消するように、環が同一方向に折れ曲がった舟形配座と、互いに反対方向に折れ曲がったいす形配座を取り得る。舟形配座といす形配座では、環炭素の結合角が109.5°に近い値なので、結合角ひずみはほとんどない。
・舟形配座
舟形配座では、下記のように、炭素−炭素および炭素−水素の結合が重なることによるねじれひずみと、C1とC4にある2つの水素が近接することによる立体ひずみを生じており、そのひずみエネルギーのため、いす形配座に比べて安定性が低くなる。
実際には、舟形配座はC1とC4が互いに反対方向にねじれた、ねじれ舟形配座という形になることが多い。ねじれ舟形配座では、先述のC1とC4の2つの水素の近接による立体ひずみは解消されている。しかし、結合同士が重なることによるねじれひずみは完全には解消されないため、ねじれ舟形配座はいす形配座よりも不安定である。
・いす形配座
いす形配座は下記のようにひずみがなく最も安定な配座である。