1,2-ジメチルシクロヘキサンの構造A 107回薬剤師国家試験問102
107回薬剤師国家試験 問102
1,2-ジメチルシクロヘキサンの構造Aに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 Aはシス体である。
2 Aのエナンチオマーはアである。
3 Aのいす形配座が環反転した配座異性体はイである。
4 Aのメチル基は、両方ともエクアトリアル位に結合している。
5 Aはメチル基同士に働く1,3-ジアキシアル相互作用により不安定化されている。
107回薬剤師国家試験 問102 解答解説
◆ 1について
1 × Aはシス体である。
→ 〇 Aはトランス体である。
Aは2つのメチル基が環に対して上と下で互いに逆の位置で結合しているのでトランス体である。
◆ 2について
2 × Aのエナンチオマーはアである。
Aとアはどちらも(1S,2S)-1,2-ジメチルシクロヘキサンで同一物質である(描き方が違うだけ)。
また、Aとアは立体配座も同じである。
◆ 3について
3 〇 Aのいす形配座が環反転した配座異性体はイである。
環反転については下記のリンク先を参照
アキシアル,エクアトリアル,環反転
A(またはア)のいす形配座が環反転した立体配座異性体がイである。
◆ 4,5について
4 〇 Aのメチル基は、両方ともエクアトリアル位に結合している。
5 × Aはメチル基同士に働く1,3-ジアキシアル相互作用により不安定化されている。
1,3−ジアキシアル相互作用については、下記のリンク先を参照
シクロヘキサンの安定配座 ジアキシアル相互作用とひずみエネルギー
エクアトリアル結合とは、環に対して水平に近い結合である。
Aおよびアの2つのメチル基は両方ともエクアトリアル位に結合している。
よって、Aおよびアでは、メチル基の1,3-ジアキシアル相互作用による立体ひずみはない。
アキシアル結合とは、環に対して垂直な結合である。
イの2つのメチル基は両方ともアキシアル位に結合している。
よって、イではメチル基の1,3-ジアキシアル相互作用による立体ひずみが生じ、エネルギーが高く不安定になっている。