シクロプロパン ひずみエネルギーと結合の開裂 92回薬剤師国家試験問4bc

第92回薬剤師国家試験 問4bc
シクロアルカンに関する記述の正誤を判定してみよう。

 

b シクロプロパンのひずみエネルギーの大部分は、ねじれひずみに由来する。

 

c シクロプロパンは、大きなひずみエネルギーのために、パラジウム触媒存在下、水素ガスと反応し、炭素-炭素結合の開裂を起こす。

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薬剤師国家試験過去問題集 化学 立体化学の立体配座

 

 

第92回薬剤師国家試験 問b4c 解答解説

 

 

b × シクロプロパンのひずみエネルギーの大部分は、ねじれひずみに由来する。
→ ○ × シクロプロパンのひずみエネルギーの大部分は、角ひずみに由来する。

 

原子から伸びる結合のうちのある2つの結合がなす角度を結合角と呼ぶ。
結合角が理想の角度から大きくなる、または小さくなることから生じるひずみを角ひずみという。
sp3炭素の結合角の理想の角度(原子価角)は109.5°である。よって、sp3炭素の結合角が109.5°からずれると角ひずみを生じ、そのずれが大きいほど角ひずみは大きくなる。

 

シクロプロパンの炭素の結合角は60°であり、sp3炭素の原子価角の109.5°から大きくずれているため、大きな角ひずみが生じる。この角ひずみがシクロプロパンの大きなひずみエネルギーの大部分を占める。

 

シクロプロパン ひずみエネルギーと結合の開裂 92回薬剤師国家試験問4bc

 

 

・ねじれひずみについて
結合の二面角が60°よりも小さくなると生じるひずみを、ねじれひずみ(二面角ひずみ)と呼ぶ。ねじれひずみ(二面角ひずみ)は、結合同士の相互作用によるひずみである。

 

シクロプロパン ひずみエネルギーと結合の開裂 92回薬剤師国家試験問4bc

 

シクロプロパンでは、下記のようにC−H結合の二面角が小さく重なり形であるため、ねじれひずみ(二面角ひずみ)が生じる。

 

シクロプロパン ひずみエネルギーと結合の開裂 92回薬剤師国家試験問4bc

 

シクロプロパンでは、角ひずみのひずみエネルギーの方がねじれひずみ(二面角ひずみ)のひずみエネルギーよりもかなり大きく、シクロプロパンのひずみエネルギーの大部分は、角ひずみに由来する。

 

 

◆ cについて
c ○ シクロプロパンは、大きなひずみエネルギーのために、パラジウム触媒存在下、水素ガスと反応し、炭素-炭素結合の開裂を起こす。

 

シクロプロパンやシクロブタンは、結合角ひずみが大きいことから全体のひずみエネルギーが大きく、不安定であり、反応性が高い。このことから、パラジウム触媒存在下、水素ガスと反応し、炭素-炭素結合の開裂を起こす。

 

シクロプロパン ひずみエネルギーと結合の開裂 92回薬剤師国家試験問4bc

 

ひずみエネルギーの小さいシクロペンタンやシクロヘキサンでは上記のような反応は起きない。

 

★参考外部サイトリンク
シクロアルカンの構造(薬学これでOKさん)

 

ひずみ:結合角ひずみ、二面角ひずみ、立体ひずみ(役に立つ薬の情報〜専門薬学さん)
シクロアルカン(猫でもわかる有機化学さん)

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