医薬品添加剤に関する記述 95回薬剤師国家試験問176
95回薬剤師国家試験 問176
医薬品添加剤に関する記述のうち、正しいものはどれか。
a ヒプロメロースフタル酸エステルは、錠剤の腸溶性コーティング剤として用いられる。
b メチレンブルーは、点眼剤の着色を目的に用いられる。
c 用時溶解して用いる注射剤に賦形剤を加えることはできない。
d パラオキシ安息香酸エステル類は、軟膏剤の保存剤として用いられる。
95回薬剤師国家試験 問176 解答解説
◆ aについて
a 〇 ヒプロメロースフタル酸エステルは、錠剤の腸溶性コーティング剤として用いられる。
ヒプロメロースフタル酸エステル(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート:HPMCP)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのフタル酸エステルであり、セルロースのヒドロキシ基の一部にメチル基,ヒドロキシプロピル基(−CH2CHOHCH3)カルボキシベンゾイル基(−COC6H4COOH)が結合した半合成高分子である。
ヒプロメロースフタル酸エステルやセラセフェート(酢酸フタル酸セルロース)のようなフタル酸エステルは腸溶性コーティング剤として汎用される。
◆ bについて
b × メチレンブルーは、点眼剤の着色を目的に用いられる。
点眼剤や注射剤には、別に規定するもののほか、着色のみを目的とする物質を添加剤として使用できない。
◆ cについて
c × 用時溶解して用いる注射剤に賦形剤を加えることはできない。
→ 〇 用時溶解して用いる注射剤に賦形剤を加えることはできる。
◆ dについて
d 〇 パラオキシ安息香酸エステル類は、軟膏剤の保存剤として用いられる。
パラオキシ安息香酸エステル類(p-hydroxybenzoate)はパラベンと呼ばれ、
細菌や真菌などの微生物の発育を抑える作用があるため、
保存剤(防腐剤)として塗り薬,点眼剤,注射剤などに添加される。
なお、輸液などの多量に注射する製剤には,
パラオキシ安息香酸エステル類などの保存剤は使用しないので注意。