薬剤師国家試験過去問題集 医薬品の添加剤

無菌製剤に用いられる添加剤 96回薬剤師国家試験問175

96回薬剤師国家試験 問175
無菌製剤に用いられる添加剤に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。

 

a 濃グリセリンは、インスリン注射液の等張化剤として使用される。

 

b メチルセルロースは、点眼剤の粘稠剤として使用される。

 

c パラオキシ安息香酸エステル類は、リンゲル液の保存剤として使用される。

 

d クロロブタノールは、注射剤の保存剤としてだけではなく、無痛化剤としても使用される。

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96回薬剤師国家試験 問175 解答解説

 

◆ aについて
a 〇 濃グリセリンは、インスリン注射液の等張化剤として使用される。

 

インスリン注射液の等張化剤には専ら濃グリセリンが用いられる。
塩化ナトリウムは強熱残分試験法に支障をきたすため、
ブドウ糖は血糖値を上昇させるため、
これらはインスリン注射の等張化剤としては用いられない。

 

関連問題
インスリン注射の等張化剤として塩化ナトリウムは使用されない 91回問174の1

 

 

◆ bについて
b 〇 メチルセルロースは、点眼剤の粘稠剤として使用される。

 

メチルセルロースは、
セルロースのヒドロキシ基の一部にメチル基(−CH3)を結合させ半合成高分子であり、
メチル化の程度により溶解性が異なる。
メチルセルロースの水溶液は、低温では液状であるが、加熱によりゼリー状となる。
医薬品の添加剤としては、結合剤,増粘剤,懸濁化剤(懸濁安定化剤),水溶性の軟膏基剤として用いられる。

 

チモロールマレイン酸塩を主薬とするリズモン点眼では、
メチルセルロースの熱可逆的ゾル−ゲル転移を利用し、持続性点眼液としている。

 

関連問題
・メチルセルロースの熱応答ゲル化と点眼の持続性 104回問177の3

 

・メチルセルロースの構造と用途について 88回問175d

 

 

◆ cについて
c  × パラオキシ安息香酸エステル類は、リンゲル液の保存剤として使用される。

 

輸液などの多量に注射する製剤には,通常,保存剤を加えない。

 

パラオキシ安息香酸エステル類(p-hydroxybenzoate)はパラベンと呼ばれ、
細菌や真菌などの微生物の発育を抑える作用があるため、
保存剤(防腐剤)として塗り薬,点眼剤,注射剤などに添加される。
しかし、輸液などの多量に注射する製剤には,通常,保存剤を加えない。

 

 

◆ dについて
d 〇 クロロブタノールは、注射剤の保存剤としてだけではなく、無痛化剤としても使用される。

 

クロロブタノールは、微生物の発育を抑える作用があるため保存剤として用いられるが、
局所麻酔作用による注射部位の疼痛緩和効果もあるため、無痛化剤としても使用される。

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