直接打錠用の結合剤はどれか 97回薬剤師国家試験問51
97回薬剤師国家試験 問51
直接打錠用の結合剤はどれか。1つ選びなさい。
1 結晶セルロース
2 ヒプロメロース
3 ショ糖
4 ポビドン
5 ヒプロメロースフタル酸エステル
97回薬剤師国家試験 問51 解答解説
直接打錠用の結合剤は、
1の結晶セルロースである。
結晶セルロースは、α−セルロースを鉱酸(無機酸)で部分的に解重合し,精製した半合成高分子である。
結晶セルロースは、水や有機溶剤に不溶であるが、水を吸って膨潤する性質がある。
結晶セルロースは、結合剤,崩壊剤,滑沢剤の機能を兼ね備えた賦形剤として用いられるが、
結合剤として用いられる場合は直接打錠用に限られる。
結合剤は、有効成分や添加物の粒子同士の結合を促進し、
薬剤の造粒や成形をしやすくする目的で用いられる。
関連問題
結晶セルロースの溶解性・崩壊剤としての利用について 88回問175a
以下、他の選択肢の添加剤について解説する。
2のヒプロメロースはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のことであり、
セルロースのヒドロキシ基の一部にメチル基(−CH3)またはヒドロキシプロピル基(−CH2CHOHCH3)を結合させた半合成高分子であり、水を加えると膨潤し,澄明又は僅かに混濁した粘稠性のある液となる。エタノールには溶けない。
ヒプロメロース(HPMC)は、湿式顆粒圧縮法の結合剤,胃溶性フィルムコーティング剤,増粘剤,懸濁剤,固体分散体の担体などに使用される。
3のショ糖はスクロースのことであり、グルコースとフルクトースがα1→β2結合した二糖である。
ショ糖は賦形剤や糖衣コーティング剤として用いられる。
4のポビドン(ポリビニルピロリドン:PVP)は合成高分子であり、
湿式顆粒圧縮法の結合剤,懸濁剤,胃溶性フィルムコーティング剤,溶解補助剤として用いられる。
ポビドンの詳細は下記のリンク先を参照
ポビドン 懸濁化剤や結合剤として用いられる合成高分子 106回問52
5のヒプロメロースフタル酸エステル(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート:HPMCP)は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのフタル酸エステルであり、セルロースのヒドロキシ基の一部にメチル基,ヒドロキシプロピル基(−CH2CHOHCH3)カルボキシベンゾイル基(−COC6H4COOH)が結合した半合成高分子である。
ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)は、酸性ではほとんど溶けないため、腸溶性コーティング剤として用いられる。
このようなフタル酸エステル化合物は腸溶性コーティング剤として汎用される。
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