懸濁性点鼻液の添加物 107回薬剤師国家試験問182
107回薬剤師国家試験 問182
フルチカゾンプロピオン酸エステルを有効成分とする懸濁性点鼻液に含まれる添加物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選びなさい。
1 ポリソルベート80は、懸濁化剤として添加されている。
2 ベンザルコニウム塩化物は、有効成分を可溶化するために添加されている。
3 塩化ナトリウムは、微生物の増殖を抑制するために添加されている。
4 カルボキシビニルポリマーは、有効成分の鼻腔内滞留性を高めるために添加されている。
5 エデト酸ナトリウム水和物は、無痛化剤として添加されている。
107回薬剤師国家試験 問182 解答解説
◆ 1について
1 〇 ポリソルベート80は、懸濁化剤として添加されている。
ポリソルベートとはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのことであり、
Tween系と呼ばれる非イオン性界面活性剤である。
懸濁液製剤において、界面活性剤が懸濁化剤として添加されることがあり、界面張力低下により分散粒子の凝集を抑制することで分散状態を安定化させる。
◆ 2について
2 × ベンザルコニウム塩化物は、有効成分を可溶化するために添加されている。
→ 〇 ベンザルコニウム塩化物は、保存剤(防腐剤)として添加されている。
ベンザルコニウム塩化物は陽イオン性界面活性剤である。
陽イオン性界面活性剤は逆性せっけんと呼ばれ、
殺菌・消毒作用があるので、
微生物の増殖を抑制するための保存剤(防腐剤)として添加される。
◆ 3について
3 × 塩化ナトリウムは、微生物の増殖を抑制するために添加されている。
→ 〇 塩化ナトリウムは、等張化剤として添加されている。
製剤の浸透圧を体液に合わせ、適用部位での刺激や組織障害を抑制するために、
塩化ナトリウムが等張化剤として添加されている。
◆ 4について
4 〇 カルボキシビニルポリマーは、有効成分の鼻腔内滞留性を高めるために添加されている。
カルボキシビニルポリマー(カルボマー)とは、
アクリル酸の重合体を主鎖とする水溶性の高分子である。
カルボキシビニルポリマーは増粘効果に優れており、
本剤では薬剤の粘膜付着性を高め、
有効成分の鼻腔内滞留性を高める。
◆ 5について
5 エデト酸ナトリウム水和物は、無痛化剤として添加されている。
→ 〇 エデト酸ナトリウム水和物は、安定化剤として添加されている。
エデト酸ナトリウム水和物はエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水和物のことであり、キレート剤である。
エデト酸ナトリウム水和物は、
薬物の酸化反応を触媒する金属イオンとキレートを形成することで金属を不活化するので、
安定化剤として用いられる。
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