無菌製剤に用いられる添加剤 92回薬剤師国家試験問175
92回薬剤師国家試験 問175
無菌製剤に用いられる添加剤に関する記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 輸液など多量に注射する注射剤には保存剤を加えない。
b 注射剤の等張化剤として、ホウ酸、硝酸ナトリウム、ブドウ糖などが使用される。
c パラオキシ安息香酸エステル類は、点眼剤や注射剤の保存剤として使用される。
d 点眼剤の粘性を増大させる目的で、水溶性高分子を添加することはできない。
92回薬剤師国家試験 問175 解答解説
◆ aについて
a 〇 輸液など多量に注射する注射剤には保存剤を加えない。
100mLを超えない注射剤は、通例、微生物の発育を抑える保存剤を添加する。
しかし、輸液など100mL超の多量に使用する注射剤は、通例、保存剤を添加しない。
◆ bについて
b × 注射剤の等張化剤として、ホウ酸、硝酸ナトリウム、ブドウ糖などが使用される。
注射剤の等張化剤として、主に塩化ナトリウム,ブドウ糖、グリセリンが使用される。
インスリン注射の等張化剤には専ら濃グリセリンが使用される。
ホウ酸は、溶血作用があるので注射剤の添加剤としては使用できない。
なお、点眼剤には、等張化剤としてホウ酸を用いることは可能である。
硝酸ナトリウムは医薬品の添加剤として用いられない。
◆ cについて
c 〇 パラオキシ安息香酸エステル類は、点眼剤や注射剤の保存剤として使用される。
パラオキシ安息香酸エステル類(p-hydroxybenzoate)はパラベンと呼ばれ、
細菌や真菌などの微生物の発育を抑える作用があるため、
保存剤(防腐剤)として塗り薬,点眼剤,注射剤などに添加される。
◆ dについて
d × 点眼剤の粘性を増大させる目的で、水溶性高分子を添加することはできない。
→ 〇 点眼剤の粘性を増大させる目的で、増粘剤(粘調剤)として水溶性高分子を添加することができる。
点眼剤に増粘剤として水溶性高分子を添加することで、
点眼液の粘性が増大し、これにより、
結膜嚢での滞留性が向上し、効果の持続性をが高めたり、
懸濁性点眼の懸濁状態を安定化することができる。