受動的ターゲティングを目的に臨床で用いられている製剤 111回薬剤師国家試験問55の解説

111回薬剤師国家試験 問55
受動的ターゲティングを目的に臨床で用いられている製剤はどれか。1つ選びなさい。
1 自己乳化型マイクロエマルション製剤
2 マイクロニードル製剤
3 シクロデキストリン包接体製剤
4 ポリエチレングリコール修飾リポソーム製剤
5 生分解性高分子マイクロカプセル型製剤

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111回薬剤師国家試験 問55 解答解説

 

受動的ターゲティングを目的に臨床で用いられている製剤は、
選択肢4のポリエチレングリコール修飾リポソーム製剤です。

 

111回薬剤師国家試験問55の解説 受動的ターゲティングを目的に臨床で用いられている製剤

 

以下で解説します。

受動的ターゲティングとは、
生体内の生理学的・解剖学的特性を受動的に利用するターゲティングです。

 

リポソームとは、脂質二分子膜からなる閉鎖小胞であり、
脂質膜には脂溶性薬物を含むことができ、
中の水相には水溶性薬物を含むことができる担体です。

 

表面をポリエチレングリコール(PEG)で修飾されたリポソームは、
親水性が高まり、抗原性が低下して細網内皮系への取り込みが抑制され、
粒子サイズの拡大により腎排泄も抑制されるので、
血中滞留性が向上しています。
腫瘍細胞は正常組織に比べ、血管新生と血管透過性が亢進しており、
リンパ管が未発達なので、高分子の移行性と滞留性が高いです。
これをEPR効果と呼びます。
血中滞留性の高いPEG修飾リポソームに抗がん剤を封入して投与すると、
EPR効果により、腫瘍組織に選択的に抗がん剤を集積させることができます。
これは、EPR効果を利用した受動的ターゲティングです。
なお、PEG化リポソームは、
細網内皮系の細胞による貪食を回避することから、
ステルスリポソームとも呼ばれます。

 

以下では他の選択肢について解説します。

1 自己乳化型マイクロエマルション製剤

自己乳化型マイクロエマルション製剤は、油、界面活性剤、補助界面活性剤などを含み、
投与後、消化管内の水分と混ざると自然に微細なエマルション、
つまり油滴の分散系を形成します。
これは、主に 難溶性薬物の経口吸収改善 を目的とした製剤です。
受動的ターゲティング製剤ではありません。

 

2 マイクロニードル製剤

マイクロニードル製剤は、非常に小さな針を使って、
薬物を皮膚内または皮下に送達する製剤です。
薬物の経皮吸収の改善や注射に比べた痛みの軽減などを目的とした製剤です。
受動的ターゲティング製剤ではありません。

3 シクロデキストリン包接体製剤

シクロデキストリンは、環状のオリゴ糖です。
シクロデキストリンは、外側が親水性ですが、内側は疎水性です。
この内側の空孔に疎水性の化合物を取り込みます。これを包接と呼びます。
薬物をシクロデキストリンの包接体とすることで、
疎水性の薬物の水への溶解性を高めたり、
化学的に不安定な薬物の安定性を高めることができます。
受動的ターゲティング製剤ではありません。

 

5 生分解性高分子マイクロカプセル型製剤

生分解性高分子マイクロカプセル型製剤は、
薬物を生分解性高分子でできた微小なカプセルや粒子の中に封入した製剤です。
体内で高分子が徐々に分解されることで、中の薬物が少しずつ放出されます。
そのため、主な目的は放出制御や薬物の安定化です。
受動的ターゲティング製剤ではありません。

 

 

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