化学反応に関する記述 84回薬剤師国家試験問21
84回薬剤師国家試験 問21
化学反応に関する次の記述の正誤について、正しいものはどれか。
a 反応物AとBが生成物CとDになるとき、その反応には必ず遷移状態が存在する。
b 可逆反応においては、正反応と逆反応の活性化エネルギーは常に等しい。
c 活性化エネルギーが大きいと、その化学反応は吸熱反応となる。
d 触媒の添加で活性化エネルギーが変化するのは、素反応が異なるためである。
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84回薬剤師国家試験 問21 解答解説
◆ aについて
a 〇 反応物AとBが生成物CとDになるとき、その反応には必ず遷移状態が存在する。
下の図に示すとおり、
反応経路の中でエネルギーの最も高い不安定な状態を遷移状態と呼ぶ。
◆ bについて
b × 可逆反応においては、正反応と逆反応の活性化エネルギーは常に等しい。
可逆反応において、正反応と逆反応の活性化エネルギーは等しいとは限らない。
下の図は正反応が発熱反応のエネルギー図であり、
Eaが正反応の活性化エネルギーであり、
Ebが逆反応の活性化エネルギーである。
◆ cについて
c × 活性化エネルギーが大きいと、その化学反応は吸熱反応となる。
化学反応が発熱反応か吸熱反応かを決定づけるのは、
反応エンタルピー(反応熱:僣)の符号の正・負であり、
活性化エネルギーの大・小ではない。
反応前の系より反応後の系の方がエネルギーが高く、
反応エンタルピー(反応熱:僣)が正の値である場合、
正反応は吸熱反応である(僣>0で吸熱反応)
下のエネルギー図は、
正反応(右方向)は凾g>0で吸熱反応であり、
逆反応(左方向)は凾g<0で発熱反応である。
詳細は下記のリンク先を参照
発熱反応・吸熱反応のエネルギー図
◆ dについて
d × 触媒の添加で活性化エネルギーが変化するのは、素反応が異なるためである。
触媒は、遷移状態を変化させることにより、
活性化エネルギー(Ea)を低下させ、
反応速度を上昇させる。
触媒の添加で素反応がするわけではない。